本と映画

「夏美のホタル」

森沢明夫の原作小説も、人気はあるらしいのですが、 僕は実は、この作家の小説は読んだことがありません。 今回映画を見たのも、なんとなくに過ぎなかったのですが、 見終わってから、心に引っかかる何かを感じたのです。 それは僕が日頃考えている、人の生…

「旅の終わりに」

マイケル・ザドゥリアンなんて作家は、知らなかったのに、 認知症の夫と癌末期の妻が旅に出る話には、関心を持ちました。 癌末期と言えば、ケア医療とかが盛んになっていますが、 痛みを和らげて死ぬのを待つだけなんて、つまらないと思う。 死ねば自由を失…

「質素であることは、自由であること」

今から6年前の2012年6月に、リオデジャネイロで行われた、 国連の「持続可能な開発会議」で、一躍有名になったのが、 当時ウルグアイの大統領、ホセ・ムヒカさんのスピーチでした。 「資本主義や競争社会をいくら続けても、人々は幸せになれない!」 …

「What is 和食 WASYOKU?」

ミネルヴァ書房から、英文対訳付きで編集された、 「What is 和食 WASFOKU?」と題した、本が出ています きれいな装丁の本で、中には魅力的な写真が多いので、 気の利いた子供向け参考書、って感じでしょうか。 誰が書いたのかとみれば、こどもくらぶ編集で…

「幸せなひとりぼっち」

45年間勤めた鉄道職員の仕事を、突然解雇されたオーヴェは、 かつては町内の自治会長も務めたことがある、初老の男性である。 彼は地域の治安を守るため、自ら町内の監視役もやっている、 規律に厳しい人ですが、妻を亡くして気難しい鼻つまみ者でもある。…

「万葉ことば」

幻冬舎から出ている、「万葉ことば」を読みました。 日本の古い言葉には、現代語にない奥深さを感じるし、 なによりも柔らかみがあって、上品な感じがします。 だけど具体的にどんな言葉が、万葉ことばと言えるのか、 よく分からないままに、ともかく中を読…

映画 「ごはん」

日本映画史上において、最も美しく水田の風景を描き、 最もリアルに米作農家を描いた、エンタテイメントムービー。 と言うキャッチフレーズで、昨年11月に公開された映画、 「ごはん」が、砺波の子供曳山会館で上映されました。 一体どんな映画なのか、気…

「明治の男子は、星の数ほど夢を見た」

産学社から出版された、和多利月子編著による本で、 山田寅次郎の生涯を紹介する、ちょっと不思議な本です。 何が不思議かと言って、パラパラと本を捲ってみると、 赤黒の二色で、文字ばかりではなく写真や図版や絵があって、 一段だったり二段組みだったり…

五行歌集「プロジェクションマッピング」

すでに五行歌に関しては、知っていましたから、 違和感なく読んだのですが、よく心に届く本でした。 前回読んだときは、もっと若い子どもの作品集で、 新鮮ではあったけど、自分とは違う世界でした。 だけど今回の作者である、三葉かなえさんは、 既に大学を…

「働きたくないイタチと 言葉がわかるロボット」

端的に言ってしまえば、僕らはどうして言葉によって、 意思の疎通が出来るのか、長年不思議に思っていました。 あるいは通じていれば幸いで、厳密には誤解が生じる、 この曖昧さ故に救われることもある、言葉の難しさ。 それ故に、いわゆる言語学には以前か…

「好きにならずにいられない」

2015年北欧映画No.1を決定する、「第12回ノルディック映画賞」に輝いた、 アイスランドの映画、「好きにならずにいられない」をDVDで見ました。 43歳で独身の男フーシは、女性と付き合ったことが一度も無いという、 ジオラマ・オタクの大男ですが、…

「絵本ものがたりFIND」

朝倉書店から出ている、シリーズ絵本をめぐる活動②、 「絵本ものがたりFIND」を、読んでみました。 絵本に関する本と言うことで、軽いタッチを予想していたら、 思いのほか濃い内容で、しかもけっこう面白かったです。 執筆陣も学者や作家、評論家など2…

「オマールの壁」

イスラエルに占領された、パレスチナ自治区の周囲には、 高さ8メートルもの分離壁が作られて、今日に至っています。 国際連合総会で、非難決議がされているにもかかわらず、 この壁は今日も建設が進められており、パレスチナを分断する。 この映画は、そん…

「PK(ピーケイ)」

東京などの都会にいれば、こんな映画も観られるでしょうが、 田舎暮らしの欠点として、メジャーでない映画は見られません。 最近は定期的に雑誌を読むわけでもないので、映画「PK」のことは、 まったく何も知らないまま、TSUTAYAのレンタルで見つけ…

「モアナと伝説の海」

ストーリーを知る前に、好きになってしまったのは、 CGの映像があまりにも美しく、リアルだったからです。 初っぱなの映像で、主人公モアナがまだ幼少の頃に、 海に選ばれる様子が、何とも言えず透明感があってに美しい。 45年前に、初めて沖縄の珊瑚礁…

映画「あん」

小説「あん」の著者であるドリアン助川が、この作品の映画化に対して、 「この感覚を撮れるとしたら河瀨直美監督しかいないと思いました。 運命の人を演じられるとしたら女優樹木希林しかいないと思いました。」 と言ったとおりに、河瀬直美が監督して、樹木…

「昭和天皇100の言葉」

今朝農作業をするために、馬畑にいたところ、 緊急情報とかで、北朝鮮のミサイル報道がありました。 そこでかの大戦を経験された、昭和天皇の言葉を集めた、 「昭和天皇100の言葉」を、思い出したのです。 この本に紹介された言葉は、優れた人間の叡智に…

「この世界の片隅に」

宮崎アニメとは少し違う、大人のアニメ映画でありながら、 アニメの魅力を遺憾なく発揮した、秀作映画だったと思います。 第90回キネマ旬報ベストテンにおいて、日本映画の第1位、 読者選出日本映画においても、第1位を獲得しており、 これは単に僕の好…

「シンプル・シモン」

珍しくスウェーデン映画ですが、アスペルガー症候群の主人公シモンが、 大好きな兄サムに、完璧な恋人を見つけようとして奮闘する映画です。 シモンはこのアスペルガーの症状によって、両親とさえ意思疎通が難しく、 唯一サムだけが、心を開いて会話をするこ…

「私はサラリーマンになるより、死刑囚になりたかった」

最近はテロに限らず、無差別殺人がまかり通って、 しかも罪悪感が感じられず、不気味な感じがします。 この殺人という行為に対する、強い執着とは何なのか? 理解し難いので、どう考えたものかと思っていたら、 そのヒントになりそうな本を見つけ、読んでみ…

「コスタリカの奇跡」

~積極的平和国家のつくり方~、と副題がついた、 「コスタリカの奇跡」を見ましたが、素晴らしかった。 何が素晴らしいかといって、地上に数ある国の中に、 これほど知性的な国民の国が、あることが素晴らしい。 1948年に国の常備軍を廃止して以来、今日ま…

「凜とした日本人の生き方」

イエローハットの創始者、鍵山秀三郎さんは、 多くの人が知る、お掃除おじさんでもあります。 その鍵山さんが書いた、「凜とした日本人の生き方」 を読んでみたので、感想を書いておきます。 本の内容は、 第一章 凡事徹底の心づくり 第二章 企業の中の徳づ…

「なぜ祈りの力で病気が消えるのか?」

花咲てるみさんの著書で、霊的な側面から解説した、 「なぜ祈りの力で病気が消えるのか?」を読みました。 “祈りの力”を信じない人には、何のことやらわからない、 怪しい本だと思うかも知れませんが、祈りには力がある。 すでに僕を含む多くの人が、こうし…

「青年将校ジョージ・ワシントン」

大阪大学外国語学部でアメリカ史を教える、西川秀和さんが書いた、 壮大な「アメリカ人の物語」全13巻から、第1期「建国期の躍動」第1巻、 「青年将校ジョージ・ワシントン」を、楽しく読ませていただきました。 なにしろジョージ・ワシントンのことは、…

「太陽の蓋」

先日高岡では、「太陽が落ちた日」上映会があって、 これは今月13日のブログに、少し紹介しておきました。 この上映会を企画した人たちが、もう一本見たいと言った 映画「太陽の蓋」が、もうレンタルDVDになっている。 まだ新作扱いで高かったのですが、思…

「フランス女性は80歳でも恋をする」

フランスで結婚した日本の女性が、20年間パリに在住して、 出会った55人のマダムから、学び得た人生の知恵を書いた本。 軽いエッセイの本ですし、人生を散歩するような気持ちで、 つらつら読み始めてみると、これが結構読みようによって面白い。 章ごと…

「国を救った数学少女」

読み始めてみると、頃はアパルトヘイト時代の、 南アフリカの貧民街で、主人公は12歳の黒人少女の話し。 あまりにも身近さからほど遠くて、最初は読みづらく、 最後までは読まなくていいや、と思った小説でした。 ところが読み始めてみると、テンポの良い…

「やさしい本泥棒」

小説「本泥棒」が原作で、2013年にアメリカで制作されながら、 日本では劇場公開が中止となり、DVDだけが発売されました。 僕はたまたま図書館で見つけ、何気なく借りて観たのですが、 これがとても興味深い内容で面白く、俳優の演技も素晴らしい。 …

月刊「地理」2月号

「都市は暑くなっている?」と言う特集があって、 以前から気になっていたことですから、読んでみました。 この月刊誌は、昨年の10月号を読んだことがありますが、 その時の特集は熊本地震で、とても読み応えがあったのです。 それなら都市の温暖化につい…

「レッドタートル」

去年の9月19日(月)に、久しぶりに映画館へ映画を見に行って、 「君の名は」を見るつもりが、あまりに混んでいて違う映画を見ました。 その時見たのが、「レッドタートル ある島の物語」だったのですが、 とても良い映画で、ブログに少しですが感想も書…