「凜とした日本人の生き方」

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多くの人が知る、お掃除おじさんでもあります。
その鍵山さんが書いた、「凜とした日本人の生き方」
を読んでみたので、感想を書いておきます。

本の内容は、
第一章 凡事徹底の心づくり
第二章 企業の中の徳づくり
第三章 後世に受け継ぐ国づくり

と3章に別れていますが、内容的にはいずれも、
目の前の成果に囚われない、人づくりの話しです。
全体が120ページで、行間もゆったりとして、
内容的にも読みやすいので、すらすらと読めます。

その内容はと言えば、人生訓のようなもので、
いくつものエピソードが、適時紹介されています。
例えば、「平凡は徹底することで光を放つ」では、
夏の甲子園を制した、前橋育英の荒井直樹監督を紹介し、
ゴミだらけだった部室を、綺麗にすることで、
頭と心と体が調和した人間を育てて、勝利したと言う。

また「箸よく盥水を回す」のお話の中では、
埼玉県三芳町にある石坂産業の、石坂典子社長が、
産業廃棄物処理の3Kイメージを、払拭するために、
最新鋭の焼却炉を解体して、環境に優しい工場にした話。
今の政治行政や会社運営は、何でも会議で決めますが、
それは責任逃れであり、一人の人間の覚悟と決断こそが、
大きな変革や新しい流れを生み出す、と言うお話です。

これらのエピソードは、基本的に共感できますが、
中にはちょっと疑問を感じ、違和感を覚えるものもある。
例えば「公」の意識は愛国心があってこそ、において、
「人間の愛で、最大の愛は祖国愛である」と言われると、
祖国愛によって、考え方の違う国同士が争う戦争を、
危惧してしまうし、もっと大きな愛もあると思う。

それでも全体として、「問題から逃げない」とか、
「私利を去る」と言われれば、まったくその通りと思う。
どうやらこの本は、実践を通して人生を考える上で、
大切な教えを持っていると思うのですが、それだけで良いか、
と考えたときには、もう一つ何かが欠けている気もする。
それは何かと考えるなら、国家に縛られた理想ではなくて、
国家を越える人間としての、理想の在り方だと思うのですが。

そんな思いを整理する上で、この本は大切な要素を持ち、
人として何が大切で、人生をどう生きるべきかが書いてある。
僕らはこうした基本から始めて、頭と心と体を一つにし、
未来に向けて行動する大切さを、読み取ることが出来るのです。
あくまでも人として価値観の基本を知り、考える糧として、
自らの行動の指針にできれば、この本は活きてくるでしょう。