月刊「地理」2月号

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「都市は暑くなっている?」と言う特集があって、
以前から気になっていたことですから、読んでみました。
この月刊誌は、昨年の10月号を読んだことがありますが、
その時の特集は熊本地震で、とても読み応えがあったのです。
それなら都市の温暖化についても、どんな記事か読んでみたい、
と思って読んだのですが、この本は読み物としても面白い。

目次を見ると、件の特集の他にいくつかの連載記事と、
地理関係本の紹介や、別途に寄稿記事が一本掲載されている。
この連載記事も、いろいろ面白い内容が載っていますが、
まずは特集記事を読んでみると、今回は少し物足りません。
5本紹介された記事の中で、「都市の熱環境の実態と原因」以外は、
あまり引き込まれる内容がなく、よくわからなかったとも言える。

書いてある内容そのものは、わからないではないのですが、
その内容にどんな意味があるのか、素人の僕にはわからなかった。
都会のヒートアイランド現象による、都市の温暖化そのものは、
どの記事も最初の記事と同じで、都市の温暖化は確かにある。
その原因を探る中に、いくつかの視点や注意事項があって、
それが多様な記事になっているのは、確かにわかります。

しかし例えば空間スケールや、観測所の立地条件など、
さらには気圧の変化を検証されると、素人にはわからない。
なるほどこの本は、地理の専門家に向けた雑誌でありますから、
僕らにはよくわからないことが、大事だったりするのだと思います。
そんな些細なことまで読み込まなければ、確かに興味深い内容で、
人口が多くて活動が活発なら、都市の温暖化は間違いなくあるのです。

そんな特集記事とは別に、今回特に面白かったのは、
カザフスタンからの報告や、カンボジアからの報告でした。
遠い異国で観光旅行ではなく、その土地の風習に出会う報告は、
最近の「わかりきった旅行」ではない、未知を知る魅力があって、
こんな旅ならもう一度行ってみたい、と思わされるのです。
案外そんな関心が、「地理」における人間的な楽しみなのでしょう。

観光案内には出てこないような、各国各地の変化の様子や、
世界の片隅の未知な暮らしを知ることが、とても興味深いのです。
そして最後に紹介しておきたいのが、東京都内の集合住宅の歴史で、
フォトエッセイとしてある、同潤会アパートメントの話しは、
同じ時代を生きた者として、直接関わりが無いのに懐かしかった。
ともかくこの本は、毎回しっかりした記事が多いのがいいです。