創作室(テスト)

増える期日前投票

忙しい合間を縫って、選挙の期日前投票に行くと、 数人のお年寄りが、ワンボックスの車から下りていました。 ワイワイがやがやと楽しそうですが、行き先は投票所で、 国政選挙の期日前投票に、そろって出向いてきたようです。 僕の方が後だったので、なるべ…

ファイティング姫

一ヶ月検診で外出して以来、姫はともかく、 妻は何かと外出して、息抜きをしたいようです。 と言っても、まだ遠出は厳しいと感じて、 姫を連れて出掛ける時は、僕が運転手ですし、 図書館や近所の買い物などは、一人で行きます。 つまり僕と姫が、ふたりで…

稗(ヒエ)の子

天気が良くて、気持ちのいい朝でした。 稗の子は嬉しくなって背伸びをしていたら、 近くにいたお母さんが、緊張した様子で言いました。 「今日はいつもの人じゃなくて、慣れた人のようだから、 なるべく気付かれないよう、静かにしているんだよ」 稲列の中…

小説 「本牧百貨店」Ⅲ-2

「記憶の初め、私は十九歳でした。まだ学生で、一年間パリへ留学したのですが、そこで知り合ったシリルという画学生と恋をしました。留学の期限が切れて、東京へ帰らなきゃいけない日の前日に、私はプロポーズを受けました。けれど彼もまだ学生でしたし、私…

小説 「本牧百貨店」Ⅲ-1

Ⅲ サキはまたひとりになった。 あまりにも時を移動しすぎたのか、疲れていた。 心臓病でもないのに掌が汗ばんで、軽いめまいさえ感じた。体重を計れば五キロは減ったろうと思えるほど、躰がげっそりとして感じられる。なにしろ三時間のうちに何年もの時を過…

小説 「本牧百貨店」Ⅱ-2

青い顔をして飛び退いたナミは、ややあって現実に戻るとサキの顔をじっと見つめた。 「どうしたんだ」 サキもまた時の隙間を縮めることができないまま、たった一歩の距離を歩み寄れずにナミの顔を見つめていた。 「おねえちゃーん」 と健ちゃんの声がして、…

~海を遠く~

北陸は、となみ野の山沿いの町で、 12月12日の午前4時4分だというのに、 暖房もしていない室内の温度が、15℃もある。 先日の寒波で冬用にした寝床は、なま暖かくて、 今さら布団を変える気もしないから、 布団の中でパジャマを脱いで、裸になった。 …

自費出版大手「新風舎」の破綻

この何年かは、ちょっとした自費出版のブームに見えましたが、 そうした出版形態を他に先駆けて確立していた「新風舎」が、 20億円の負債を抱えて、民事再生法の適用を申請をしたようです。 この出版社には、僕も一度「BioDome702」でお世話になりました。…

幽霊船 (4)

紫とピンクが、黄色と青に犯されたあざやかなワンピースを着て、足にはライトグリーンのショートブーツを履いた。少し心が浮き浮きとして、彼はこの奇抜な服装にふさわしいロングソックスと首飾りを求めて、衣装室のドアを開けた。木製の彫り物をあしらった…

「創作室」テスト

この文字の大きさで、小説などを掲載することを考えています。 本来は縦書きで読んでもらいたいのですが、なにしろコンピューター技術は、横書き文化の産物ですからね。縦書きの技術はあってもややこしいし、ブログの画面表示に入れるのは、今のところ僕の知…