「横道世之介」

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もう4年前の映画ですが、あまり意識がなくて、
妻が図書館で借りてきたものを、昨日初めて見ました。
こうした学園ものが、はやっているかどうかは知りませんが、
僕自身はあまり見ていなくて、久しぶりに見た気がします。
そして多くの人が感想で述べているとおり、愛すべき作品で、
見ているうちに、自分が学生だった頃を思い出してしまう。

設定では1980年代で、大学に進学した九州出身の若者が、
少しずつ大学生活に慣れながら、自分を見いだしていく。
僕の場合は10年早い、1970年代が学生時代でしたが、
よく似たシュチエーションが、いくつもあった記憶があります。
若い頃に自分が取った行動を思い出すと、今だったら・・・
と思ってしまいますが、当時はそれで精一杯真剣だった。

特別何か大作でもないのに、2時間半を超える長い映画ですが、
見ていると自分の学生時代が重なるから、長すぎるとは思わない。
むしろ見終わった後で、いろんなことを思い出すから、
その余韻が長くて、映画自体は忘れても抜け出せないでいる。
これは自分の年齢のせいもあるのでしょうが、最後には、
学生時代のことが懐かしく、あれこれ思い出しているのです。

地方から東京に出てきた学生なんて、空気読めなくて当然で、
うまく空気を読もうとすれば、身動きが取れなくなってしまう。
あるいはどこか天然で、それが好感を持たれたりして、
いろいろ戸惑いながら生きていくけど、ラッキーだってある。
頭の中では、好きな女性とセックスすることばかり考えて、
でも実際に生身の女性を前にすると、格好付けてうまくできない。

その頃の自分と今の自分とを、比較してもしょうがないけど、
あえて比較することで、人生の真実が見える気もします。
いつだってぶっつけ本番の、待ったなしの人生だから、
自分が何者で何をしたいのか、考えていないとすぐに過ぎる。
チャンスに後ろ髪はない、とはうまく言ったものではあるけど、
そのチャンスを掴むことが、良いことかどうかわからない。

何十年も経ってから見れば、チャンスを掴めなかったことで、
また新たなシーンが開けるし、味わい深いものを知ったりする。
横道世之介」を見た映画の感想なのに、書いていることは、
見終わった後に考えたことばかりで、これがこの映画の凄いところ。
この映画にはそんな力があると言うことで、それならそれで、
なるほどこんな映画もあって良いし、面白かったと言えるのです。