「おっぱい先生から100万人のお母さんへ」

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桶谷式乳房管理法を、世に広めたことで有名な武田一子さん。
どんなものか気になっていたところへ、自叙伝を出されたと知り、
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4779005132?ie=UTF8&tag=isobehon-22
さっそく本を手にとって、一気に全部を読んでしまいました。
本は武田さんの自叙伝なので、桶谷式乳房管理のことは、
少ししか書いてありませんが、心は十分に伝わってきます。

彼女は戦後のベビーブームに、出産が助産院中心になると見越し、
育ての母であった助産婦キヌさんと一緒に、助産院を開業する。
それからは、日本で一番の助産院にしたい!と頑張る中で、
産後の多くのお母さんたちが苦労している、授乳に着目して、
「痛くない乳房マッサージ」と噂になっていた桶谷さんを訪ねます。

僕は男ですから、女性特有の痛みがわからないのは当然ですが、
赤ん坊に授乳することが困難な人が、乳房マッサージをする、
これがとてつもなく痛いと聞いたときは、首を傾げたものでした。
乳房マッサージと聞いてイメージするのは、愛撫のようなもので、
それがひどく痛いとは、どんな事態なのかよくわからなかった。
ところが数年前に、友人が子供を産んで育てるときお乳の出が悪く、
マッサージしてもらう、これがひどく痛いと聞いていたのです。

そんなに痛いなら、やらなければよさそうなものだけど、
やらないとおっぱいが出ないとあっては、やらざるを得ない。
大方のお母さんたちは、そんな気持ちだったのでしょうが、
痛くないマッサージがあるなら、その方がいいに決まっています。
しかも当時、この桶谷さんは高岡に住んでいらしたと言いますから、
僕が住む砺波平野で行われていたと知り、嬉しくもなりました。

どうやら秘訣は、おっぱいが出なくなる原因に着目することで、
胸部とおっぱいがくっついてしまうことに、問題があったのです。
野生の動物を見ればわかることですが、通常のおっぱいは垂れ下がり、
胴体としての胸部からは、少し浮いているのが自然体です。
この状態であれば、おっぱいは乳房全体から刺激に応じて乳頭に出る。
ところが人間だけは、ブラジャーでおっぱいを胸に押しつけ、
寝るときは胸の上におっぱいを載せて寝るので、くっついて固まる。

原因がわかれば、これを改善してやればいいことなので、
桶谷式のマッサージでは、痛い乳腺にはほとんど触らないで、
おっぱいを胸から離すようにマッサージすることになるのです。
知ってしまえば、なるほどと思うことなのでしょうが、
様々な常識の弊害と同じで、気付くまでがなかなか難しい。
さらにこれを実践する手法が、やはり簡単ではないようですが。

たぶん桶谷式授乳管理やマッサージに関しては、他にも本があって、
専門書を読まれた方が、よく理解もできるのかも知れません。
それでもこの本は、女性の最大の特徴である出産と授乳に関して、
女同士での助け合いに心の安らぎを感じ、これを生涯の仕事とされた、
一人の女性の生き方が主に紹介されているから、読み応えもある。
編集も上手で、飽きることなく読みやすい構成に仕上がった本でした。