春先の微熱

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子どもの頃から、季節の変わり目は体調を崩していたのですが、
特に冬から春に向かう時期には、命のバランスが再構築されるようで、
心持ち微熱が続くようになって、心身共に様々な変化が起こります。
真夜中に眠れなくて、日中に眠くなるのもその一つですが、
目鼻喉に花粉症の症状が起きるのも、無関係ではないかも知れない。

高校2年生の春に、霊体離脱を体験したのもそんな時期で、
当時は夜眠れないからと言って、昼寝ているわけにもいかず、
次第に蓄積した寝不足も手伝って、僕はひどく不安定な状態でした。
食欲もなくて、数日間ほとんど何も食べずに、眠れもせずに、
やがてある日の夜、自分の意識が体を離れるのを感じたのです。

なにげなく、自分の寝姿を上から見ている自分の感覚があって、
遠くへ行きたい!と思うままに、僕の意識は体を遠く離れたのです。
家の窓から外へ出て、生まれ育った家を見下ろし、町を見下ろし、
どこまでも遠く、やがて海や山を見下ろして、さらに遠く離れていく。
だけど地球が次第に遠くなり、小さくなっていくのを見た時に、
「いやだ!」と強く心に思い、と同時に意識が体に戻ったのです。

もっと子どもの頃には、たぶん小学生の高学年だったと思うけど、
ひとりで家の前の除雪をしていた時に、突然下半身が動かなくなって、
崩れるように、その場にへたり込んでしまったことがあるのです。
あまりの怖ろしさに声も出せず、とっさに思い浮かんだことは、
これを誰かに知られたら、事実として動かなくなる!ってことでした。

誰に言われたわけでもなく、本能的にそう直感してしまうと、
僕は誰も見ていないことを確認しながら、上半身だけの力で這いずり、
玄関の中に入って、長靴を脱ぎ捨て、上がり框からさらに上へ、
脇にあった階段を必死に上って、2階にあった自分の部屋まで行った。
敷きっぱなしだった布団の中に潜り込むと、ボロボロと涙を流して、
だけど決して誰にも気付かれないように、泣き続けていたのです。

そのまま疲れて眠り込んで、食事に呼ぶ声で目覚めた時には、
僕はおそるおそる体を動かし、下半身もいつも通りに動きました。
こんなことを何度か繰り返しているうちに、僕は命の不思議を思い、
大学の頃には、超常現象やアウトサイダーに関心を持ったのです。
それがきっかけで、旅の生活をするようになったと言っていいでしょう。

その頃にも、そのあとにも、僕はよく神との対話を試みています。
そこで神と約束したことは、驚くほど守られて実現している。
命とか美しさとか、見たい知りたいと思ったことはすべて体験した。
ただ望まなかったことだけが、実現しなかったと知るのです。
だから僕は多くの若者たちに、どう生きるかを考えて欲しいのです。

人間は望んだとおりに生きる能力を持っているのです。
祈ることは、人間としての始まりなのかも知れません。