夜の町に轟く泣き声!

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まったく何が起きるのか、予想がつかないまま、
わが子誕生の喜びも束の間で、第一日目の夜には、
さっそく大きな試練が、待ち受けていました。
家族が増えて、初めてとなる夜が更けると、
なぜか小さな赤ん坊が、泣き出してやみません。

静かな田舎町で、軒が連なる町中の家ですから、
赤ちゃんの泣き声は、隣近所にだって聞こえるはず。
それなのに大泣きが始まって、おっぱい飲んでも、
おむつを替えても、わけがわからず泣き続けるのです。
抱っこして揺さぶってやれば、なんとか止みますが、
昨夜からほとんど寝ていない僕と妻は、これがきつい。

抱っこしてあやしていないと、けたたましく泣いて、
わが子の泣き声が、夜の町に鳴り響くのです。
隣近所は、ありがたいことにいい人たちですから、
極端な苦情を受けることは、たぶんないでしょうが、
真夜中に赤ちゃんの大泣きは、迷惑でないはずはない。
だけど泣きやませる方法が、うまくわからないのです。

寝不足の頭で、妻と交代で小さな子をあやしながら、
これは誰か、教えてくれる人に頼りたい気になります。
だけど昨夜にはまだ、お腹の中にいた命ですから、
外の世界に出てきて、初めての夜になるのです。
不安でないはずはないし、あやせば泣きやむのだから、
ここはやはり交代で、あやし続けるしかないのでしょう。

真夜中の12時前後には、どうしても泣きやまずに、
あやしながらこっくりこっくり、居眠りしました。
だけど、どうにもならないはずはないと信じて、
慣れないおしめの中を、何度も探って取り替えて、
まだ少ししか出ないおっぱいを、口に含ませたり、
で結局交代で、あやし続けて何時になったのか・・・

僕はいつのまにか眠ってしまい、気がついたら、
妻は布団に埋もれ、座ったまま赤ん坊を抱いていました。
うまく寝かしつけることが出来ないで、座ったまま、
赤ん坊を抱いて、ずっと起きていたようなのです。
申し訳ないと思いながら、僕は少し眠ったので、
彼女をそのまま、布団に埋もれて眠れるようにしました。

それから僕は、朝の台所の用意などを始めたのですが、
しばらくすると、赤ちゃんの奇妙な泣き声が聞こえました。
どこか遠くから聞こえるような、おかしな感じで、
僕は異常を感じて、部屋に戻って様子を見たら、
妻は深い眠りに落ちていて、赤ん坊の姿が見えません。
妻の手からこぼれ落ちた赤ん坊が、布団の奥底にいたのです。

ビックリして救い出すと、妻もすぐに気がついいて、
お互いに顔を見合わせて、思わず泣き笑いです。
僕らはいつだって、二人合わせて一人前で、
一人ではほんとに、何をやってもミスばかりです。
彼女はさすがに驚いたようで、それから後は、
二度とこのようなミスは、したくない決意でした。

それから二人して、交代で赤ん坊を見ることにして、
食事も交代で、一人はかならず赤ん坊を見ていますが、
無理なく体を休めるように、赤ちゃんも横に置いて、
僕や彼女が、いつ眠りに落ちてもいい体制であやします。
無理に抱いていなくても、ちゃんとあやしていれば、
泣いてもすぐに、また静かになることもわかったのです。

二人三脚だった夫婦生活は、三人四脚の家族生活になって、
これから先だって、何が起きるのかわかりません。
なにしろまだ、産まれてから一日しか経っていないし、
助産士さんもいなくなれば、僕らだけの世界になるのです。
智恵と勇気と五体の努力で、大冒険の人生です。