未来を創る人づくり

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現代的教育ニーズ取組支援プログラム
世界に学び地域に還す、ものづくり環境教育
~多文化共生・持続的社会の実現に向けた技術者の使命を学ぶための~
富山工業高等専門学校富山商船高等専門学校 現代GPフォーラム、
「未来を創る人づくり」
持続発展教育 ~明日へ、「学び」を見つめ直す~

う~ん、さすがにお堅い学校教育のフォーラムは付け足しが長い!
しかも今回は実質的な内容も濃くて、重量も相当なものです。
午前9:30に始まって、1時間の昼休みを挟んで16:45まで、
三つの講演、学生発表、二つのディスカッション、特別講演、
と内容たっぷりに、興味深い話をたくさん聞くことができました。
講演の内容だけ、簡単に紹介しておきましょう。

講演Ⅰ「持続可能な未来を創る環境教育」
   講師:小澤紀美子(日本環境教育学会会長)
 まずESD(Education for Sustainable Development)の基本理念を解説し、
 教育内容としては、これから具体的にどのように変わっていけばいいのかを、
 地域と学校が協力した取組などを紹介して、さらに何が必要かを話されました。
 人と人との温もりや共感の中で、子どもも大人も共に育ちあうことが大切!とし、
 学習は総合的なものとして、全体のデザインが大切という話が印象的でした。

講演Ⅱ「持続可能な社会の構築のための教育とその教員研修プログラムと教材の開発」
   ーこどもが生き生きと学ぶ地域学「みうら学」の開発を通してー
   講師:五島政一(国立教育政策研究所・教育課程研究センター・総括研究官)
 長い教師時代に取り組まれた、具体的な教える工夫について紹介されることで、
 教師と生徒の、関心の距離を縮める必要を話されていたように思います。
 小学生では7割の子どもが理科好きなのに、中学で5割、高校で3割と減るので、
 もっと自然の中へ出ていく教育が必要ではないかとも話されていました。
 僕自身は、生徒が学びたいことと教師が教えたいことにズレが生じている気がする。

講演Ⅲ「持続可能な社会づくりに向けて何が求められるか ー地球市民の視点ー」
   講師:廣野良吉(成蹊大学名誉教授)
 1945年以降、持続可能な社会に対する認識がどのように市民権を得てきたか、
 三期に分けて解説して、持続可能な開発から持続可能な社会を考える必要を説かれた。
 経済学者はモデルの中でしか考えないから、今日の破綻を予測できなかった!とし、
 多様な価値観を学ぶ必要性と共に、ただ受け容れるのではなく議論して参加すること。
 こうした自主的な学習が出来るには、大学受験から変わる必要があると話された。

このほかの話の中で特に印象的だったのは、高専商船の生徒による海外学習の報告で、
イギリスの北アイルランドと、内モンゴルの滞在意見交換が紹介されたときに、
それぞれ事前に考えていたこととは大きく違う発見をした!と報告があったことです。
ディスカッションの中でも、いろんな人が同じように指摘されていましたが、
高専商船の在学5年間は、人生で最も成長著しい多感な時期でもあるので、
この時期に異文化の中に身を置けば、想像を超える刺激を受けるのは間違いないのです。
これからもこうした異文化交流を大切にして、さらにその後の学習に繋げてほしい!
それこそ、多様な文化や価値観が共存して、循環型の社会を作る鍵になるはずです。

今回のフォーラムは、学校関係者の成果確認のような意味合いがあったのでしょうが、
その内容が、地域の人々や多様な価値観との共生が大切だと認めているのであれば、
もっと開放して、教育者、生徒、市民が一緒になって考える実践の場にしてほしかった。
いや、こうして僕らは参加できたわけだから、これを契機に次のステップへ進んで、
生徒と先生が愛される市民の一部となって、社会の未来を語り合えるようになってほしい。

そもそも本来は人生の先輩として、子どもの優れた相談役であったはずの「先生」が、
いったいいつのまに、特定の何事かを教え込む「教師」になってしまったのか?
どうもそのあたりから、大きく何かを間違えている気がするのです。