「農で起業する!」

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2005年に初版が出た本ですが、今読んでも痛快で面白い。
国の農業政策をコケにして、補助金など受け取らないで悠々自適、
会社運営のノウハウを使って、田舎暮らしを楽しむノウハウが満載です。

日本農業の3大時代遅れは、「肥料」と「計測」と「情報」にあるとして、
まずJAの言うままに肥料を購入することを止めただけで、経費が激減し、
高値で売れるための収穫時期を計算することで、売上高が大きく伸びる。
これだけでも、時間集約性が大幅にアップして楽に暮らせるというのです。

著者は、日本モトローラ半導体事業部で営業統轄本部長をされた杉山経昌さんで、
農業にはリストラはないし、一番ストレスの少ない仕事だとも書かれている。
脱サラ就農を目指してから、どのように実現したかの過程が書かれていて、
それも物語形式に、僕らが関心をもつ多くのことが具体的に書かれているので、
本を読むと言うよりは、一緒に話をしているような調子で読めました。

たとえば土作りも、盲目的に農協にしたがっていると、ムリ、ムラ、ムダが多く、
有機農業と言って、毎年同じように大量の肥料を入れるばかりでいいのか?
必要な肥料だけを入れる方が、土も健康になるのではないか!と考えたわけです。
考えたことは実行するので、JAに嫌われ、補助金も受けられなくなるのですが、
JAから言われるままに買う肥料よりも、遙かに安い肥料がたくさんあると知り、
価格比較をして安く仕入れる、会社であれば当たり前のことをしたわけです。

そして彼は、農業に関わるセールスのほとんどが、詐欺まがいであるとして、
何の効果もない肥料や農薬を買わされるなど、生産性が悪すぎると指摘します。
一般的に効果があるとされているEM菌さえ、効果は限定的であてにならず、
農作業全体で見れば、余計なエネルギーを費やしているというのです。
このあたりの事情は、僕の周囲でも見られるので、なるほどと思いました。
農薬、肥料、水、微生物、環境・・・ムダなおカネと労力を払っている?

彼はまた、日本の農業事情として、異常とも言える外見へのこだわりや、
誰にとっての安全かわからない農薬安全使用基準で、消費者が危ないとも言う。
もしも本当に安全な有機野菜を作ろうと思ったら、とても安くは売れない。
これも僕らは自然農をやっているので、よくわかることなのですが、
農家の人でさえ、有機野菜を食べたかったら自分で作れ!状態なのです。

これら既成の農業事情を批判しながら、彼は新しい農スタイルを推奨します。
サラリーマンと違う、自由な時間に自由な裁量で仕事をする楽しみを唱え、
彼は、自分が思い描く理想のライフスタイルを手に入れたと思っている。
僕が求める自然農のライフスタイルとは、少々違いますが、それでも、
サラリーマンから農で起業するには、こうした本が手引きになるはずです。


杉山経昌さんの「農で起業する!―脱サラ農業のススメ」は、(↓)こちら。
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4806713015?ie=UTF8&tag=isobehon-22