UAのライブで

イメージ 1

UA・・・たしかスワヒリ語で「花」と同時に「殺す」の意味を持つ言葉。
すでにヒット曲も多い、こんな名前のミュージシャンが、日比谷野音のコンサートでは、
六ヶ所村ラプソディ」の鎌仲監督を呼んで、トークをやったことは聞いていました。
そのUAが、日本各地のライブ会場で、六ヶ所再処理工場反対の署名を集めている。
しかもコンサートの中で、再処理工場の恐ろしさを訴えて、署名を求めているのです。

その一つ、9月末の大阪・梅田芸術劇場でのライブに参加した人の投稿が、
「美浜の会メール・ニュース」に載っていましたので、少し紹介しておきます。

(以下転載)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
会場に着くと、ロビーにテーブルが置かれ、見慣れた「岩手の会」の「海に、空
放射能を流さないことを求める署名」が並べてあった。「ホントにやるんだ~」と改
めて確認。しかし、さすがに開演前に関心を払う人はほとんどいなかった。

席数1905の大ホール、客の入りは控えめに見て8割。客層は2~30代中心
で、女性の方が多い。

ステージのセットは緑一色。木や草がたくさん置かれている。
これが、最新アルバムであり、今回のツアーのタイトルでもある『Golden green
』のコンセプトなのだろう。

ライブは、大ヒットした『情熱』をはじめ有名な歌の間に、ちょっと不思議な感
じの歌が挟まれる感じで進む。これらが『Golden green』に入っている歌らしい。
そして、これらの歌には、自然志向、環境志向がはっきり見て取れる。

ライブ本編は意外にアッサリと終了。まだ六ヶ所の話してないのにー。
アンコールの最後に話すんだろう、たぶん。

お色直ししてアンコールに登場。ここからが良かった。

最初の2曲、『閃光』~『Moor』の流れは感動的。

  65億の蟻を乗せた 小さな船が滝から落ちる前に
  舟をつなぐ岸をさがす あなたをつなぐために手を伸ばす
  みんなもう気がついているのに 知らないふりだけ上手で
  るり色が灰色に燃える景色は 涙の量だけじゃ消せない

と歌う『Moor』では、UAの地球環境に対する危機感が色濃く表れ、思わず涙腺
も緩む。

リクエストに応えてさらに2曲歌ったあと、

「最後になってしまうんですけど、ちょっと真面目な話‥‥」

来た!

「今回のツアーでずっと言ってるんですけど、憲法9条、日本の宝物である憲法
9条を変えようとしている人がいます。自衛隊自衛軍にして他国の人を殺しに行ける
ようにしようとしている人がいます。私は、自分の息子にそんなことはさせたくないの
で、変えてほしくないです」

いきなり9条の話だったので、いささか驚く。そして、

「もう一つ、今日私は署名の紙をたくさん持ってきてるんですけど、青森県の六
ヶ所村に、日本に55基ある原発の燃料を将来再利用するために再処理する工場が造ら
れています。本当は11月に運転するはずだったんだけど、反対の声があって延期され
ました。けれども国は、来年には運転しようとしています。運転が始まったら、原発
が1年で出すのと同じ量の核が、空や海に出されます。三陸の海が汚染され、そこから
みんな被曝することになります。みんなが署名してくれたら、私から岩手の会に送りま
す。再処理工場で働いている人の雇用の問題とかもあるけれど、もっと大きな視点で生
活を変えていかなければならないと思います」

思ってたよりずっと具体的な話で、しかもUAの実感に根ざした、いいアピール
だった。

だが、会場の反応は「きょとん」という感じ。そりゃそうだろう。いくら「環境
志向」が色濃いとは言え、歌詞はあくまで抽象的。具体的なメッセージとの間には大き
なギャップがある。

これでたくさんの人が署名してくれるだろうか? 署名の置いてある場所もロビ
ーの一角ではあるが、真っ直ぐ出口に向かうルートからは少し外れているし、ちょっと
不安。

果たして、しかしこれは杞憂に終わった。
ホールを出たところで既に、「署名して帰らなくちゃね」という会話が聞こえて
きたし、その場に行ってみると黒山の人だかりが。まるでバーゲンセール。

短いアピールだけで署名の内容が十分理解されたとは思えないが、少なくとも彼
女の気持ちはしっかりと伝わったのだろう。

それと、熱心なファンにとっては署名のことは初耳ではないはず。このツアーの
様子はブログなどでも紹介されており、それを読んでいるファンは心の準備もできてい
ただろう。
その意味で、UAは着実に意識を広げてくれてたと言える。

何人分の署名が集まったのかは分からないが、お客さんの数と署名への殺到ぶり
から400以上は集まったと思われる。UAの力は大きい。

前後するが、署名を呼びかけた後、最後に歌った歌は『水色』。管楽器3本だけ
の伴奏で切々と歌い上げ、胸に染みた。

  季節は限りなく廻り続けてるけど 私のこの心に 光る水色は
  いついつまでも変わらない 空と海の色

もともと人気のある歌だけど、あのアピールの後では、一味違って聞こえたので
はないだろうか。(U)
・・・・・・・・・・
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(以上転載)

なお、美浜の会のことを知りたい方は、下記をチェックしてみてください。

美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会(美浜の会)
530-0047 大阪市北区西天満4-3-3 星光ビル3階 
       TEL 06-6367-6580 FAX 06-6367-6581
       http://www.jca.apc.org/mihama/
       mihama@jca.apc.org

今まで多くのミュージシャンが環境問題や原発問題を訴えてはいましたが、
今回のUAのように、自分のメインの活動で主張して、しかも署名を求めるような、
こうした普段からの活動の中でメッセージを送り続ける人は、思い当たりません。

それが正しいことであれば、あるいは訴える必要があると思えば、
自分の生活の中から訴えていく、生き方として訴えていくのが本当なはずです。
その意味で、このUAの活動は、新しい時代の在り方を見せているのだと思います。

僕らはどこにいても、何も特別なこととしてではなく、あたりまえに、
反対すべきものは反対して、やるべきことがあれば自らやっていく。
こうした自立が出来てこそ、新しい社会は育っていくのだと思いました。


UAの最新アルバム、『Golden green』は(↓)こちらから。
http://www.amazon.co.jp/gp/product/B000PWQPOS?ie=UTF8&tag=isobehon-22