「神々の深き欲望」

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学生の頃に日本へ復帰したばかりの沖縄へ行ったのは、
新宿の場末にあった小さな名画座の映画館で、
今村昌平監督の「神々の深き欲望」を見たからだった。
映画の内容はほとんど覚えていないけれど、
北陸と関東の海しか知らなかった僕にとって、
この映画に出てくる珊瑚礁の海の美しさは驚きだった。
その美しさを自分の目で確認してみたくて沖縄へ行った。

その今村昌平監督が昨日お亡くなりになった。

今あらためてこの監督の作品を振り返ってみると、
「飢える魂」「幕末太陽伝」「にあんちゃん
「豚と軍艦」「にっぽん昆虫記」「人間蒸発」など、
学生時代には多くの作品を名画座で見ていた。
そして「復讐するは我にあり」頃から僕も同時代者で、
楢山節考」「うなぎ」とカンヌのパルムドール受賞を、
不思議な感動を持って聞いていたのを思い出す。

さらにこの監督は、僕がドキュメンタリーに興味を持つ
きっかけになった「ゆきゆきて、神軍」も制作していた。
その他「黒い雨」「エロ事師たちより 人類学入門」など、
これほど多くの問題作を作り続けた監督はいないだろう。
僕はこの監督がいなかったら違う人生を生きていた。
「神々の深き欲望」を見ていなかったら、
「にっぽん昆虫記」を見ていなかったら、
ゆきゆきて、神軍」を見ていなかったなら。

その今村昌平監督が、昨日亡くなったと知らされた。