小津安二郎・映画監督

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小津安二郎監督の映画は、今までに3本ほど見ていました。
代表作の「東京物語」のほか、「晩春」と「秋刀魚の味」ですが、
他にももっといろいろ見てみたい、と思っていたら、
Yahoo!のトップページにあるGyaO!に、特集の案内がありました。
小津安二郎の生誕110周年で、全33作品が無料で見られるのです。

気が付いたのが11月30日で、その日は「父ありき」が無料。
その後日替わりで、「長屋紳士録」「一人息子」「淑女は何を忘れたか」
「戸田家の兄妹」、「東京の宿」、そして今日が「浮草物語」でした。
さらに明日からも、「麦秋」「晩春」「東京の合唱」「大学は出たけれど」
「突貫小僧」「東京物語」「出来ごころ」「彼岸花」と続きます。

昔「東京物語」を見たのは、池袋の文芸座ではなかったかと思いますが、
そのときは必ずしも、小津作品の良さはわかっていませんでした。
黒澤明大島渚今村昌平などの作品は興奮して見ましたが、
小津の作品はあまりにも穏やかで、若年の僕には刺激が足りなかったのです。
それが月日を経て、今は作品を見るたびに引き込まれていくのです。

そもそも彼が映画監督になった頃は、まだ無声映画全盛の時期で、
全54作品の半分が無声映画ですから、彼の作品を知ることは、
映画が無声映画からトーキーになる、映画史を辿るようなものでしょう。
ちょうどハリウッド映画で「アーティスト」がもて囃されたように、
日本では小津安二郎が、ノスタルジーのキーになるのかも知れません。

それにしても彼の「東京物語」は、世界中の多くの映画監督が絶賛して、
イギリスの映画協会が、10年に一度発表する史上最高の映画として、
この映画は第1位に選ばれているから、驚くしかありません。
ちなみにそこでは、第2位以降「2001年宇宙の旅」「市民ケーン
「81/2」「タクシードライバー」「地獄の黙示録」・・・と続きます。

刺激的でセンセーショナルな作品が多い中で、「東京物語」は、
あまりにも日常的で、なぜこれが第1位なのか不思議に思ったものです。
だけど今回あらためて彼の作品を見ていると、一貫してある何ものか、
人間に対する信頼感のようなものが、とても好感を持てたのです。
英雄ではなく市井の平凡な人の生き方に、強い人生賛歌があるのです。

来週の木曜日には、久しぶりにまた「東京物語」が見られますが、
今回はどのような感想になるか、今から楽しみにしています。
GyaO!小津安二郎監督の特集は、今月17日まで続くようですので、
皆さんにも是非見ていただきたいと思い、早めに記事にしてみました。
特集内容のページは、↓このサイトにアクセスしてご覧ください。
http://special.streaming.yahoo.co.jp/movie_ozu/#present