鈴虫を聴きながら・・・

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秋が深まってくると、虫の音が聞こえてきます。
我が家には小鳥が集まるし、夏にはセミの声がして、
秋にはコオロギ、松虫、鈴虫等の音色が聞こえる。
僕が子どもの頃には、家裏は林に続いていましたから、
虫や小鳥は当たり前でしたが、今は不思議な気がします。

家の敷地は建屋に囲まれて、閉ざされた空間なのに、
小さな中庭には、相変わらず蝉や虫の声がするのです。
特にこの秋の季節に鳴く虫たちは、どこで年を越すのか、
どんなに大雪の年でも、秋になれば必ず姿を見せて、
まだ閉じきっていない家の中に、鳴き声を響かせます。

鈴虫は特に賑やかで、夜が更けて寝る準備をして、
寝床に入って電気を消すと、闇に鈴の音が満ちてくる。
田舎の夜は都会とは違って、静かなものですから、
そこに鳴り渡る鈴虫の音色は、いかにも秋の気配です。
なんだか気持ちが良くなって、嬉しくなってくるのです。

虫の音に包まれていると、心が落ち着いてくるし、
日中に感じる虚しさや切なさが、なぜか澄み切っていく。
僕はどちらかと言えば、輪唱する松虫の音色が好きで、
コオロギほど地味ではないし、鈴虫ほどには派手でもない、
程良く距離感があって、秋を深く感じるのです。

子どもが寝た後で、起きて別の部屋へ移動して、
灯りを付けて本を読むのも、秋の夜の楽しみでしょう。
そして一段落して、活字から目を離したときから、
虫の音が今始まったように、耳に届いてくるのです。
この心地よさが、秋の夜長の楽しみでもある。

家に庭がない人は、YouTube などで検索して、
鈴虫や松虫の声を流しておくと、それだけでもいい。
夜の空間が広がって、心はどこへでも出掛けていきます。
あなたが時空を超えて行く先は、どんな場所なのか、
そこに誰がいて、僕は何をしているのだろうか?