福光乗馬クラブ

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僕が福光で畑にしている、一反あまりの柵で囲われた場所は、
以前は馬の放牧場の一角で、このあたりは馬の牧場でした。
福光乗馬クラブという名前で、この場所を最初に借りた当初には、
まだ馬の飼育が行われており、運動場も機能していたのです。
だけど牧場主のおじちゃんは、2年前あたりから体調が悪くて、
去年からは馬を全部手放し、今は昔の面影を残すだけとなりました。

おじちゃんは元々僕ではなく、妻が結婚する前からの知り合いで、
まだ何頭もの馬がいた頃に、僕も誘われて何度か見に来たことがあります。
昔は競馬のジョッキーだったという、小柄でがっしりした人ですが、
さすがに80歳を過ぎてからは、体力的にも馬の世話は厳しかったでしょう。
乗馬クラブのメンバーに、実際の世話は任せていたようですが、
それでも馬の移動や運動場で駆けさせたり、要所は自分でやっていた。

僕は友人に競馬ファンがいたので、馬に親しみはあるのですが、
競走馬は大きいので、どう取り扱っていいものかわからなかった。
それをおじちゃんは、ひょいひょいと手綱を持って馬を意のままに操り、
さすがに長年の経験で、無駄なく動けることに関心していたものです。
妻は乗馬をするわけでも無いのに、市民活動の縁で知り合って、
それから用も無いのに遊びに来て、結構好き勝手に振る舞っていました。

そしてもう使うことも無くなっていた、柵で囲われた一角を、
畑に使わせてくれないかと言ったら、了解してもらえたのです。
僕も妻もお金はありませんでしたが、おじちゃんはそれをわかった上で、
無料で使っていいと言ってくれたので、試しに少しずつ野菜を植えたのです。
あれから何年たったか、途中一度だけトラクターで全体を耕しましたが、
それを機に全体を計画的に使うようになり、畝立てもして今日になります。

気さくなおじちゃんは、僕らが結婚したときも喜んでくれたし、
子どもができてからは、自分の孫のようにかわいがってくれたのです。
僕らとは何も血縁が無いのに、まるで甥っ子夫婦でも見るように、
何かと助言もくれるし、畑の作物のことでも意見を言ってくれました。
そのおじちゃんの牧場、福光乗馬クラブから馬がいなくなって、
この寂れ方はやはり悲しく、おじちゃんには元気でいて欲しいと思うのです。