瑞泉寺・太子伝会

イメージ 1
 
僕が住んでいる南砺市井波町には、瑞泉寺という大きなお寺があります。
毎年7月には、その太子堂聖徳太子の像を開帳し、太子の生涯を描いた絵の、
絵解きをする行事があって、これを太子伝と言ってたいそうな賑わいでした。
僕が子どもの頃にも、瑞泉寺下の八日町から上新町にかけて出店がぎっしり並び、
寺の高岡門を入った域内には、サーカスや見せ物小屋まであったのです。
井波駅舎があった下新町から中新町にかけては、人の流れが続いていました。

ところがその後、僕が高校通学にも使っていた加越能鉄道が廃止になって、
徐々に人通りが少なくなったところへ、瑞泉寺の実権を争うお家騒動があって、
京都の東本願寺からも、大勢の僧が瑞泉寺の封鎖に駆けつけたと聞きました。
大学以降は長いこと故郷を離れていましたし、太子伝のある7月のこの時期は、
去年までほぼ毎年、沖縄の石垣島へ行っていたので、長らく太子伝は見ていません。
それが今年は珍しくこの時期に井波にいたので、久しぶりに行ってみました。

表通りの商店街には、吹き流しなどが下がって雰囲気出しに努めていますが、
上新町はおろか、瑞泉寺すぐ下の八日町へ行っても、ほとんど人が見あたりません。
石段を登って高岡門を入っても、土産物屋の前に焼き鳥など売る人がいるだけで、
ほとんど普段と違う様子は見あたらないし、観光客以外の参拝客はあまりに少ない。
本堂から靴を脱いで入って、そのまま渡り廊下を通って太子堂まで行って、
中を覗いたら、それでも30~40人ほどの人の姿は見えました。

聖徳太子が2歳の時に自分で彫ったと言い伝えられる、小さな木造彫像は、
一日に何度かご開帳されるだけで、それ以外の時間帯は緞帳の中に隠れています。
せっか来たのだから、やっぱり太子像だけは見ておきたいと思って、
一緒に行った彼女と二人、よく見える場所に陣取って300円を支払い、
絵解き話を聞きながら待つこと1時間近く、ようやく拝見することが出来ました。
今日の写真はそのときのもので、中央に小さく見える立像が聖徳太子です。

僕は特別信心深いわけではないけど、子どもの頃から太子伝に来ていたせいか、
親鸞上人と聖徳太子には、今でも深く親近感を抱いているのですが、
親鸞と太子にどんな関係があるのかは、まったく覚えてもいませんでした。
その辺のお話を聞けただけでも、久しぶりに来てみた価値はあったでしょう。
しかしながら本堂の通路には、土産物を置いて金勘定する人が何人もいて、
昔は自由に出入りできたこのお寺も、今では入場料がいることを思い出します。

瑞泉寺の敷地を出て街を歩けば、商工会の行事がいくつか準備中でしたが、
ともかく人出が少ないので、ゆっくり見て歩く雰囲気でもありません。
八日町に自然農の知り合いがオープンした「えんかふぇ」に立ち寄って、
少し話をして、他には特に立ち寄るところもなく、太子伝をあとにしました。
向かったのは福光の「熱送り」で、ゴミひろいのお手伝いに行ったのですが、
その人出の多さを見るにつけても、今の太子伝をさみしく思わずにはいられません。
 
【追伸】 
 翌24日の夜、八尾から帰宅したら、中新町から上新町に掛けて、 
 賑やかにイベントをやっているのを見えたので、様子を見に行きました。
 そこでは、よさこい踊りや素人参加が出来る氷のアートをやっていて、
 地元の人たちによる模擬店も、食べ物や飲み物、ゲーム遊びまでありました。
 香具師による店ではない、地元の人たちによる模擬店に大勢の家族連れがいて、
 なるほど、これなら子どもたちも大人たちも安心して楽しめそうでした!