未来への選択
このところ日本経済の世界では、二つの流れが顕著です。
一つは旧来型の、集権型管理社会を維持しようとする勢力で、
巨大利権である原発推進を擁護しながら、経済成長を優先させる、
米倉経団連会長に代表されるようなタイプの流れです。
もう一つは、3.11原発震災のあとクローズアップされてきた、
ソフトバンクの孫正義さんや、楽天の三木谷浩史さんなど、
原発推進に反対して、経団連と距離を置く流れです。
一つは旧来型の、集権型管理社会を維持しようとする勢力で、
巨大利権である原発推進を擁護しながら、経済成長を優先させる、
米倉経団連会長に代表されるようなタイプの流れです。
もう一つは、3.11原発震災のあとクローズアップされてきた、
ソフトバンクの孫正義さんや、楽天の三木谷浩史さんなど、
原発推進に反対して、経団連と距離を置く流れです。
簡単に見れば、原発推進派と脱原発派の括りになりますが、
ここには社会の在り方を担う、二つの考え方が対峙しています。
一つは経済成長優先が大切なので、企業は大型化合理化を進め、
統一された価値観のために、国民一丸となって頑張ろう!タイプ。
もう一つはそうした巨大利権の一枚岩よりも、自由意志を大切にし、
それぞれが自分の持ち分を活かして、ネットワークを模索する。
経済界でも新興勢力の人に多いのも、大きな特徴でしょう。
だけどこうした二つの流れは、今に始まったことではなく、
元経済同友会副代表幹事の品川正治さんも、無闇な経済成長を戒め、
資本家中心のアメリカ型市場原理主義を、痛烈に批判しました。
そこには日本型民主主義とでも言うか、分かち合いの精神があって、
自分たちの利益のために、誰かが迷惑を受けるのは平気でいられない。
経済成長さえすれば、社会問題の大半は片付くと言うような、
経団連主流の考え方とは一線を画す人が、どの時代にもいたのです。
しかしながら、日本では世論を操るマスコミが巨大利権擁護で、
日本最大の利権グループである、独占電力事業連合と一緒になって、
視聴者を中央集権の特定価値観へ導く、宣伝放送を繰り返す。
これにより、深慮しない多くの国民が集権管理社会を受け入れて、
危険な原発までも、クリーンで安全なシステムだと思い込んだのです。
幸いなことに、今の時代はテレビを見なくても情報は入るので、
テレビのCMや情報は、半分疑って見ておけば済むでしょう。
ところが残念なことに、政治の世界がなんとも怪しい。
昔のように政党で良し悪しを判断しようにも、政策に違いはないし、
例えばどの政党が脱原発をしてくれるのか、ちっともわからない。
同じ政党の中に、てんでバラバラの考え方が混在していて、
どの政党を支持すれば、この国の政策を方向転換してくれるのか、
まるっきりわからないから、指示したいものがないのです。
政治家本人も、煮え切らない返事ばかりで政策が見えません。
勇ましいのは政権交代や菅おろしばかりで、それで何をしたいのか、
せめて「電力会社の巨大利権を解体健全化する」と言うなら、
谷垣さんだろうが小沢さんだろうが、この際は応援してもいい。
だけどどうしてか、政治の世界には孫さんや三木谷さんのような、
新しい流れを明確に示せる人がいないのが、なんとも虚しい。
この二ヶ月間の世論調査を見ても、市民は少しずつ価値観を変え、
原発推進のような統一集権型の社会を、離れ始めているのです。
もっと明確に、新しい選択肢を示せる政治家はいないのか?