抗議する市民たち

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このところ市民革命と言えば、チェニジアのジャスミン革命で始まった、
エジプトや中近東の長期独裁政権に対する、抗議の市民革命を指すようです。
この潮流は世界中に流れ込んでいて、中国では政府が頭を痛めていますし、
軍事独裁と言われるミャンマーでさえ、市民の要求が通り始めている。
ヨーロッパでも、脱原発、脱成長と言った、今までの政策に対する批判が、
これまでにない奔流となって、政府の政治姿勢にさえ影響を与え始めています。

こうした状況の中で、現在の世界経済の元祖である日米はどうなっているか?
政治が経済に飲み込まれてしまっている日本でも、3.11原発事件によって、
この国が経済優先で危険な状態になっていることが、ようやく明るみに出ました。
これを受けて、新しい価値観を模索する動きが急激に広がっているのですが、
あまりにも経済優先で洗脳されていた、圧倒的多数の一般市民にとって、
こうした価値観の転換は、そう簡単には行かないことが容易に想像が出来ます。
それでも多くの人たちが公然と脱原発を唱え、マスコミを批判し始めている。

アメリカでも事情は同じで、金融機関を中心とした経済優先政策に対し、
市民の抗議は次第に膨らんで、ついに大きなデモが各地で始まっています。
ボストンでは大手銀行の建物の前に、数千人が集まって抗議をしたようですし、
ロサンゼルス市役所の前では、数百人が徹夜で座り込みを続けていると報じられ、
さらにニューヨークのマンハッタンに掛かる、ブルックリン橋を占拠して、
昨日だけで500人以上の人たちが、警察に拘束されたと伝えられています。

こうした新しい市民による抗議活動の主張は、多くの場合多方面に渡って、
脱原発の集会でも、経済政策に対する抗議や反戦平和なども掲げられますので、
旧来の頭では支離滅裂に見えるかも知れませんが、全部繋がっているのです。
それは等しく、中央集権的な利権擁護の体制に対する不満と批判であって、
日本では脱原発をきっかけに、アメリカでは金融政策批判をきっかけに、
現状の政策が持ち続ける、市民の生活よりも経済優先の価値観への抗議です。
すでに多くの市民は、経済成長が市民を幸せにしないことを知っているのです。

この流れは国家ばかりではなく、身近な地域社会においても例外ではなく、
僕らが南砺市で始めた、市民会議による「協働のまちづくり条例」への試みも、
現状の政策や行政の方針に不満を持ち、抗議する意志を持って始まっている。
この現状に対する不満と抗議がわからないと、なぜ条例が必要なのかもわからず、
様々な団体のトップにいる人たちは、「現状で何が悪い!」とうそぶくのです。
現状ではダメだから、世界中で市民が声を挙げ始めているのでしょう!

インターネットの普及を中心とした、新しい情報網の広がりによって、
世界中の一般市民が目覚め始めている、この流れを止めることはできません。
地球レベルにおいても、国レベルにおいても、地方レベルにおいてさえ、
一部の人が利権を握って富を支配しようとする、旧来の価値観は否定されます。
新しい価値観は世界共通の市民意識として、誰もが平等であることを求め、
自らが関わって社会を構築する、市民民主主義の理想を掲げ始めているのです。
実現までは遠いとしても、掲げられた旗はひるがえり続けるでしょう!