ベイルートの祈り!

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NHKで夜の10時から興味深い番組がありました。
新シルクロード 激動の大地をゆく 祈りの道 アラビア」
昨夜に第1話があって、今夜の番組はその続きだったようですが、
たまたま今夜分を見ただけでも、十分に感慨深い内容でした。

欧米よりも長い歴史を持って、ずっと暮らし続けている人がいる、
その暮らしぶりを垣間見るだけでも、興味深いのですが、
特にアラビアにおいては、近年紛争が絶えず、貧富の差も激しい。
そうした激動する情勢と共に、変化する人々の暮らしがあって、
時代に巻き込まれる人々の、心の痛みが伝わってきました。

特に僕が、この番組をブログに書き残しておこうと思った理由は、
最後に取材班が訪れた、レバノンベイルートでの出来事が、
とても深く、大きな希望として僕の心に残ったからです。

取材班が最後の取材地として、レバノンベイルートにはいると、
町の中には、いまだに宗教対立による内戦の傷跡が残って見える。
銃弾の痕跡を無数に残したビルが、そのままに建っていたり、
破壊されたまま放置されている、ビルの残骸も見えている。
そんな町で取材を受けた男は、半年前に息子を殺された父親でした。

彼は息子が殺されたあと、銃を持って報復しようと考えます。
だけどそこで、かつての内戦で大勢の人が死んだことを思い出す。
宗教の違いによって、殺し合うことの悲惨さを思い出すのです。
そして、報復のために集まってくれた人たちをなだめて帰し、
復讐はせずに、平和な未来を築くための活動を始めるのです。

紛争の原因となっている宗派の違う子どもたちを一緒に集め、
自らが子供を失った悲しみを込めて、平和の大切さを訴えます。
まだ心が純真な子どもたちは、すぐにその気持ちを理解して、
みんなで、平和のための絵を描いて、学校に掲げるのです。

けれど、そんな努力にもかかわらず、取材班が町を去る2日前に、
またしても爆破テロが起きて、何人もの市民が殺されてしまいます。
再び町の中に緊張が広がって、それぞれの宗派の指導者は、
相手方を非難して罵りあい、何が起きてもおかしくない空気が漂う。
そんな中で、日暮れと共に、ロウソクを持った人がやって来ます。

亡くなった犠牲者を追悼するために、ロウソクを持った人が、
少しずつ増えて、やがて町の通りが一杯になっていく。
そうです、もう誰も、誰とも殺し合いなんかしたくないのです。
宗派が違おうが、神が違おうが、殺し合いたくなんかないのです。
町は、白い服にロウソクを持った人で溢れんばかりになりました。
平和は、武器ではなく、こうした祈りによって守られるのです。