イラク・シリアは戦国時代?

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このところ世界に目をやると、一番目立つのが、
イスラム国」を含む、イスラム諸国関連の問題です。
最近のイスラム圏の問題は、アメリカのイラク介入に始まって、
アラブの春と共に、政府の支配体勢が弱体化したところへ、
様々な勢力が群雄割拠して、争っているからわかりにくいのです。
日本で言えば戦国時代のような、有力者による覇権闘争ですが、
武器の力が格段に違うので、何が起きるかわかりません。

基本的にはシーア派スンナ派に、宗教色の薄い庶民派があって、
アラブの春では庶民派が台頭しましたが、支配力としては、
今でもシーア派スンナ派が、それぞれ武力集団を持っている。
そして「アルカイダ」や「イスラム国」は、テロ集団として、
原則的にはシーア派スンナ派も、距離を置いています。
そこへクルド人を中心にした、クルディスタンが加わって、
イラク・シリア・トルコの国境が加わり、ややこしくなっている。

政府系軍隊としてのイラク軍、シリア軍、トルコ軍の他に、
それぞれシーア派軍とスンナ派軍があって、地域の部族軍があり、
クルディスタン軍もあって、お互いに睨み合っているのです。
さらに問題をややこしくしているのが、欧米による介入で、
アラブには欧米不信がありますから、欧米が軍事介入することで、
今まで敵対していた宗派軍や部族軍が、反米で手を結んだりします。
さらにサウジアラビアやシリアレバノンからも、義勇軍がやってくる。

すでにイランもシーア派の援助を通して、深く関わっているし、
トルコもクルディスタンと、経済交流を通して関係を深めています。
こんなに混乱した状態で、人道支援はどうあれば可能なのか?
日本政府はあくまでも、欧米やイラク政府に対して援助することで、
イスラムに対する人道援助だと言いますが、そう単純ではないし、
そうした援助物資さえ、例えばイスラム国が地域を支配すれば、
イスラム国を援助した如く、彼らを利することになるのです。

すでにイスラム国勢力は、イスラエルと同じくらい、
広大な広がりを持って、実行支配を広げているのですが、
これを阻止できるほどに組織力を持った軍隊は、現地にはない。
それでいて欧米が介入すれば、反欧米勢力が動き出してしまうので、
今や八方塞がりの状況で、各勢力は目の前の戦いに終始する。
このあとどうなっていくかは、誰にもわからないからこそ、
日本は距離を置いて、深く関わらない方がいいと思うのです。

アラブの部族や宗派が争っている地域で、日本に何が出来るか?
と考えたときに、国際世論など何の役にも立たないし、
どこに支援をしてみても、片寄った支援にしかなりませんし、
実際に支援が必要な人を助けることは、できないのです。
この世界には、武力ではなく民主主義によって建つ国があり、
そこで人々が平和に暮らしている、と知ってもらうことで、
彼ら自身が非暴力の幸せに目覚めるしか、道はないかも知れません。