車に乗ってトイレまで
最近は、朝早くに起きて田んぼへ行くと、
どういうわけか、お腹の具合でトイレへ行きたくなる。
出掛ける前にトイレに行っておいても、しゃがんで草取りする内に、
次第に便意を催してきて、仕事を続けることができなくなる。
近くにコンビニがあるので、そちらでトイレを借りることはできるけど、
家に戻った方が落ち着くので、車で家に帰ってトイレに入る。
そんな時に、必ずと言っていいほど思い出すのが、
ロタ島でお世話になった、トーマスというロタ島の元酋長です。
40年ほど前に、ロタ島の観光開発の準備で行ったときに、
このトーマスさんの家に泊めてもらい、1週間ほど世話になりました。
その元酋長は、もうかなり高齢ではありましたが、
毎朝トイレへ行くとき、車で爆音を立てて行くのです。
奥さんの話しでは、専用のトイレでゆっくり用を足すために、
わざわざ車に乗ってでかけ、しばらく帰ってこないのだとのこと。
何か疾患があって、その方が楽だと言うのですが、
その車が大きな爆音を立てていたこともあって、よく覚えているのです。
それは飛行機のエンジンでも、使っているかと思う爆音でしたが、
島があまりにも静かだったので、当時そう感じただけかも知れません。
わざわざ車でトイレに行かなくても、と思ったものですが、
今は自分がそうしているのも、なんだか妙な気持ちがするのです。
それはデジャビュとも違うけど、どこかで見たような情景だったりして、
人生が大きな循環円の一部だと感じ、似たような風景を感じる。
まだ20代後半で、海外で観光開発事業をするグループに参加して、
意気揚々と出掛けたときの、些細で忘れられない出来事でした。
生き方としての自然農と言いながら、何をするにも車で移動する、
その際たるものが、トイレまで車に乗って行くのです。
大きな矛盾を抱えながら、なるべく自然に近しく生きたい思いは強い、
そんな自分の愚かさ加減を、夢見ていた20代の自分に重ねる。
40年の月日で、自分は何か変ったのかどうか、
愚かで魅力的な日々を、積み重ねてはいるのですが・・・
それにしても、人生って、いいものですね!