今年も頼成で学びの場
2002年に出会って、始めた自然農は、
細々ながら続けて、今年で15年目になります。
15年もやっていると、それなりの経験も積んで、
一通りの作業は出来ますが、無駄を楽しんでもいる。
合理的に収穫を上げるとか、儲けようと言うより、
誰でもが持続的に楽しみながら、暮らしていけるように、
気持ちの良い農作業を、目指していると言ってもいい。
問題を起こさない生き方、としての自然農とは、
現代の経済優先社会が、行き詰まっている現状に対して、
少しでも持続可能な暮らしを、模索するものです。
バックキャストとフォアキャストの、考え方の違いは、
最近では多くの講演などで、耳にする機会も多いはずです。
だけどバックキャストの考えを、日常的に実行する人は、
ほとんどいないのが、現実と言っていいでしょう。
現状の問題点を挙げて、それを解決しようとする、
従来通りの思考が、フォアキャストの思考だとすれば、
バックキャストでは、将来像が重要なポイントになります。
僕らのあるべき未来を考えて、そのためにはどうするか、
と考えるから、今何をすべきかが見えてくるのです。
今ある問題点を、今まで通りのやり方で解決しようとすれば、
モグラ叩きのように、新しい問題を起こすだけなのです。
自然農がなぜ優れているかと言えば、持続可能な自然を、
生き方の手本として、その具体的な食の入手方法を、
自然の循環を手本にして、農作業に取り入れているからです。
すでに何度も言っていることですが、自然農と自然農法は、
農法は同じでも、生き方全般まで見据えているかどうかが違う。
その点がややもすれば先走りして、宗教と思う人もいますが、
自らが主体となりながら、自然を師とする哲学でもある。
人はどのように生きるべきか、と考えを深めたときに、
古今東西を問わず、多くの賢人が農的な暮らしを目指した。
それは偶然ではないし、何かを食べて暮らす人間は、
自然界に掛ける負荷を少なく、自らの命を賄って生きる、
と言う生き方に、安心と立命を得てそうしてきたのでしょう。
この感覚は、いかに科学的な時代になろうと変わらず、
自らの命と向き合ったときには、農的な暮らしを選ぶのです。
何年か前の自然農全国大会では、「一億総百姓」を目指せ、
と言う人がいましたが、それが理想かも知れません。
自然界に対する付加を少なく、楽しく命を味わいながら、
自由に生きていくためには、多くの命の多様性が大切なので、
これを交通整理する、政治も大切になるでしょう。
統一された価値観を押しつけずに、多様性を尊重するのは、
容易ではありませんが、将来に向けて必要なのです。
今年もまた一年、自然農を手がけながら暮らすことで、
新たな学びを得て、さらに豊かな人生にしていきたいと思う。
自分一人では覚束ないことも、こうして仲間がいることで、
つまずきながらも、一歩一歩進んでいけるでしょう。
そのためにも年に一度、こうして集まる連絡会は貴重で、
今年はどんな風に一年をやっていくか、考える日になります。
砺波市頼成の学びの場は、今年も健在です!