「すぐそばも幸せにできないで。」

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僕はいくつかの、インターネット会員になっていますが、
その中で長く続いているものに、「本が好き!」会員があります。
このサイトにはいつも、何冊かの献本が紹介されているので、
会員の僕らは、その中から好きな本を選んで申し込みます。
献本の冊数は決まっているので、人気のある本は抽選になって、
当選すれば送られてきた本を読んで、その書評を書けば本はもらえる。

昨年度は忙しさのあまり、ほとんど本を読めませんでしたが、
今年は久しぶりに、献本の中から好きな本を選んで申し込みました。
そして当選して送られてきたのが、高島大さん執筆による、
「すぐそばも幸せにできないで」という、平凡な日常を書いた本でした。
仲の良さそうな夫婦と、女の子が一人の3人家族の写真が表紙で、
実際にこの夫婦の日常から、様々な警句的なことが書かれていたのです。

警句的な・・・なんて言うと、難しいことが書いてあるようですが、
実はその内容は、簡単で当たり前のことばかりではある。
だけどこの“あたりまえ”のことが、実はなかなかやっかいで、
「感謝」の天敵は「当たり前」
なんて書いてあったりするのですが、その意味もよくわかる。
当たり前になってしまうと、感謝することを忘れてしまうのです。

本の構成も実にうまくできていて、当たり前のことを書きながら、
キーワードになりそうなことは、ちゃんと特別なページに書いてある。
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  見えないところで
 「当たり前の毎日」を
 守ってくれてる人がいる
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なんて言われると、当たり前のことがくっきりと際立って見える。
この本に関しては、本の内容と構成は分けがたく一体化しているのです。

当たり前のことをただ「当たり前だ」と言っても、誰も気にしませんが、
「感謝」と絡めて浮き立たせることで、当たり前は感謝になります。
全体を通じてこの調子で、感謝することを忘れた当たり前をもう一度、
意識して感謝することで、当たり前の日常が魅力的なものに変身するのです。
僕も同じ夫婦と娘一人の家族なので、書いてあることの全部が身近に思われ、
なるほど現実の身近にも、こんな人がいるはずだと感じるのです。

そしてたくさんの警句的な言葉の中で、これは良いと思わされた、
当たり前とは言えない発想を、一つ紹介しておきましょう。
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   どっちを選んでも
  うまくいくとしたら
 あなたはどっちを選びたい?
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さりげない言い回しながら、この内容にはハッとさせられます。
僕らが普段どれだけ、うまくいくか行かないかばかり考えていて、
本当にやりたいことは何かを、置き去りにしていると言うことです。

うまくいこうが行くまいが、やりたいことを選んでやってみる。
そうでなければ、その人がそこに生きている意味など無いというのに、
僕らはそんな大切なことも忘れて、合理的な判断ばかり重視するのです。
そんな愚かさを含め、この本は人を信じて愛する優しさに満ちていて、
読んでいると、なんとも言えず幸せに近づける気がするのでした。