「A2-B-C」

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福島原発事故から、4年の月日が過ぎましたが、
新聞テレビでは、復興が遅いから早くして欲しい、
と言ったニュースばかりで、今の現状がわかりません。
いくつか個人で情報発信されていた、被曝情報のサイトは、
最近何故か目立たなくなり、関心が薄れた感じがします。
だけど実情はどうなっているのか、何とか知りたいと思ったら、
子どもたちの現状を知らせる映画が、公開されていました。

昨年の5月に公開された、「A2-B-C」と言うもので、
日本在住のアメリカ人監督、イアン・トーマス・アッシュが、
原発事故以降の福島の子どもたちを追った、ドキュメンタリーです。
題名になっている“A2”“B”“N”とは、甲状腺検査で、
甲状腺に発生した、(のうほう)や(しこり)の大きさを示し、
例えば“A2”とは、比較的小さな(のうほう)のものを指します。

問題はこのA2以上の子どもが、2011年には36%だったのに、
2012年には、43~44%に増えていると言うことです。
しかも子どもたちが通っている小学校の、すぐ近くの草原では、
除染もされていないので、高濃度の放射能汚染が続いているのです。
こうした現状は、子どもたちが知らないはずはないのですが、
学校では何事もないかのように、普通に授業が行われていますし、
そのことに疑問を持っても、言いづらい環境があるようです。

近所の人を使って除染するのですが、やっている人たちは、
こんな作業で放射能が無くなるなんて、思っていないのですが、
他に仕事がないので、除染の仕事を批判なんかできません。
山も空き地も除染なんかできないし、住宅地の近くには、
除染土が袋に入れて積み重ねてある、と言った現状なのです。
画面に登場するお母さんたちが、どんな思いでいるか、
考えただけでもゾッとするし、もしも自分がこの立場なら、
我が子が被曝を続けると考えるなら、とても許せないことなのです。

映画の中で一人の人が、除染するなんて無理な話しだとして、
放射能汚染は動かさないことが一番で、人が避難するしかない、
と言っていたのは、僕も最初からそう思っていたことです。
除染なんて言葉面はいいけど、放射能は消えやしないのだから、
洗い流したとしても、どこかへ移動するだけでしょう。
そんなことで問題は解決しないし、新たな問題を生むだけで、
膨大な予算を使って、汚染をかき回しているようなものなのです。

結局誰一人責任を取らなかった、原発事故ですから、
無責任体制はどこまでも続いて、人類まれに見る被害になる。
政府や原発の担当責任者は、できれば事故を無かったことにして、
もう一度甘い蜜を吸いたいようですが、現実はそうは行かず、
どこまでも無責任な被害が続き、この国を蝕んでいく、
「俺たちはガンになって死ぬ」とつぶやく少年が痛いです。