「トマ・ピケティの 新・資本論」

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昨年の暮れに、ピケティの「21世紀の資本」を読もうとして、
だけど5,500円は高価なので、図書館へ行って探してみました。
しかしその時点では、南砺市中の図書館には入っておらず、
とりあえず希望は出しておいて、さてどうしようかと思ったら、
もう少し安価で、ピケティの新しい本が出るとわかったので、
まずそちらの本を予約したところ、これもすぐには手に入らない。

「トマ・ピケティの新・資本論」と言う本で、発行日は1月27日、
そして実際に初版が届いたのは、25日頃だったかと思います。
実はその頃には、「21世紀の資本」の方が、図書館に入って、
ほとんど同時に2冊手に入ったので、図書館の本から読み始めました。
毎日日中は日々の用事をこなしながら、夜だけ本を読んでいると、
図書館の貸出期限である2週間では、全部を読むことができませんでした。

そこで追加でもう2週間借りたい、と思って申し込んでみたら、
予約待ちの人が何人もいるので、そちらが優先されると言われました。
つまり全員が2週間ずつ借りるなら、次に僕の手元に届くのは、
何ヶ月も後のことになる、と言うことになるようです。
そんなことなら、急いで2週間で読み終えておけばよかった、
と思っても後の祭りで、ともかく本を返して再び予約待ちです。

そして読み始めたのが、新刊であるこの本なのですが、
2005~2014年に渡る10年間、トマ・ピケティが、
フランスのリベラシオン紙に連載した、時評をまとめた本でした。
ピケティのことは、去年話題になるまで何も知りませんでしたので、
いったいどんな考えの人か、知っておくに越したことはないし、
時々の社会問題をどんなふうに捉える人かは、興味深く思ったのです。

実際に読んでみると、僕の考えにも非常に近い気がしますし、
政治的な発言が多くて、ヨーロッパの現状もよくわかる感じがする。
なかでも自国フランスのことは、時の大統領がいかに無能かを示しながら、
それではどうすればいいか、しっかり自説もあるので小気味いい。
新進気鋭の経済学者らしい明快な発想で、教育、医療、年金などの、
社会福祉的なおカネは、消費ではなく所得から累進課税すべきと説きます。

ギリシャがどうして危機に瀕するのか、EUの構造的問題も指摘して、
同じ通貨を使うユーロ圏では、同一経済政策が必要なことなど、
日本などの単一国ではわからない、難しい問題の解決策も書いてある。
もちろんそれは、あくまでも個人による意見に過ぎないのですが、
読めば納得できるから、ピケティその人に対する信頼も出てきます。
っていうか、どうして世界はこうした良識で動かないのか不思議です・・・