選挙で選択できない脱原発

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原発に対する賛否では、6割近い人が脱原発を支持するのに、
こうした国の政策を判断する、国政選挙の現状を見ると、
原発を押し進めている政府自民党が、圧倒的に支持される。
これはどうしたものかと思うけど、国政は原発ばかりではなく、
沖縄の米軍基地問題にしても、国の経済・財政問題にしても、
政府の方針を批判して違う方向を示せる、対抗馬がいないのです。

安倍首相がどうしてこの時期に、総選挙をやったかと言えば、
来年はどうなるかわからないけど、今なら選挙に勝てる、
そう判断できたから、強引に解散総選挙に出たのでしょう。
あまりにもお粗末な事情ですが、もっとお粗末なのは野党で、
民主党の海江田さんなんか、「今こそ流れを変えるとき」なんて、
一度変えてどうなったかを思えば、誰も支持しないでしょう。

民主党に求心力がないから、いくつもの野党が乱立して、
脱原発を求める市民は、誰に投票していいかわからなくなって、
気が付けば自民党の立候補者を、選んでいたりするのです。
実際に多くの選挙区で、対立候補自民党候補よりいいかどうか、
比べてみていると、頭が痛くなってくる現実がありますし、
知名度だけを取っても、今回の野党にはまったく勢いがない。

かくしてこの国は、ジワジワと滅びる行程を歩み出して、
市民が納得できない政策を実行し、反対する市民の声封じには、
秘密保護法と、体制を一新する軍備がこれを担うのです。
原発によって、日本にどれだけの被害がもたらされたのか、
政府や官僚、電力会社や財界は相変わらず良い情報しか出さず、
被曝して弱い立場にある人たちは、次々に切り捨て御免なのです。

こんなお仕着せ選挙で、自由な政策論争などあるはずもなく、
選挙当日が迫るほどに、僕らは呆然とするしかありません。
争点は何かと考えてしまえば、乱立した弱小野党の論争に落ち、
政府の態度さえ、正しいように思えてしまったりするのです。
それでは新しい政治思想がないかと言えば、哲学的な思考において、
コミュタリアン的な考えによる、ジレンマの克服がヒントになる。

「美徳の理想」を唱えるコミュニタリアニズムは、現実とのジレンマの中で、
賢慮に基づく配慮が必要になるから、普段から理想を考えている必要もある。
自分の内側に理想があれば、現実の功利主義リベラリズムと対峙したとき、
どうすべきかを考えたときに、モラルジレンマとして受け止められるでしょう。
このモラルジレンマこそが、現状を打破する思想や制度を生む「核」となって、
政治にも新しい時代を切り開く、選択肢を提示できることになるのです。

政治家を目指す人は、もっと哲学的に考える人であって欲しいのです。