「「そのひと言」の見つけ方」

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電通でコピーライターをされている、渡邉洋介さんが書いた、
「言葉を磨く50のコツ」と言う、内容の本ですが、
題名は「そのひと言の見つけ方」、となっていました。
この本の帯に書かれていた言葉こそ、僕が大切に思うことで、
「仕事ができる人は、言葉ができる人」と言うものです。

どんな仕事をするにしても、いや何をするにしても、
人の言葉を正しく理解して、自分の考えを正しく伝えることが、
いかに難しくて大切か、理解している必要があると思います。
人と人の絆が大切と言っても、その絆は言葉によって、
豊かに育まれもするし、惨めに損なわれもするものです。

どんな状況に置いても、大切な「そのひと言」を見つけ、
適切に使うことができれば、仕事だって遊びだってうまく行く。
これは人生経験を積んだ人なら、誰でもが知っていることなのに、
高学歴が進んだ現代では、なぜか国語力が衰えて、
日常の会話さえ、うまく話せない人が増えています。
教育は道徳倫理以前に、基礎の基礎を見失っているようです。

そんな大切な「そのひと言」の見つけ方が、コピーを書く要領で、
誰にでもわかるように、ワークショップ的に書かれている。
書くコツ、選ぶコツ、練るコツ、粘るコツ、語るコツ、
この5つの章に、それぞれ10のコツが書かれているのです。
言葉に練達したコピーライターが、どんな思いで文を練り、
心に残るひと言を生みだしているのかが、よくわかる本なのです。

現代の花形職業の一つでもある、広告産業を動かす力は、
なによりもまず言葉の筈ですから、この言葉をどう扱えばいいか、
わかっていれば、どんな人にも、役立つことは必ずあります。
しかし実際には、この基礎の基礎をどうやって上達させればいいか、
ノウハウを知る人は少ないから、国語力も落ちてきている。

この本を読むと、そんな言葉によるコミュニケーション能力の、
育て方がわかるし、複雑な社会のカラクリまで見えてくる気がします。
「そのひと言」のために仕事を棒に振ったり、恋に破れたりもする、
そんな大切なことを、もう一度学習してみたいと思う人にも、
この本はとても役に立つので、悩める人にお薦めします。