「アナと雪の女王」

イメージ 1
 
公開以来大ヒットを続けて、DVDが発売されるや、
再び大きなブームとなっている、「アナと雪の女王」です。
姫が生まれて以来、映画館での映画鑑賞のできない僕ですが、
あまりの大ヒットに、DVDの新作を借りて見ました。
プロジェクターの大画面で、映画館に近い迫力もありました。

やはり映像はきれいで、滑らかさは実写に劣らない自然さです。
ディズニーの技術も、余すところ無く使われていたようで、
それだけでも、一見の価値はあったと言えるでしょう。
だけどもちろん、それだけではこれほどのヒットはしないので、
いったい何が、こんなに多くの人の心を掴んだのかと思い、
興味津々で見ていたのですが、なるほどこの映画は新鮮でした。

アナと雪の女王の顔立ちが、どちらかと言えばアジア的で、
欧米の尖った感じでないのが、まず今まで以上に親しみを感じます。
物語はディズニーらしい、王子さまと王女さまが出てきますが、
この二人は本当の恋にはいたらず、別の男がアナ王女の心を掴む。
しかしもっと驚いたことに、物語のクライマックスにおいて、
姉である女王の魔法を解いたのは、アナ王女を愛する男ではなく、
アナ王女自身の、姉である女王を思う真実の愛だったのです。

そもそも子どもの頃は仲の良かった、アナと女王ですが、
姉の持つ魔法のチカラによって、アナがケガをしたことから、
姉はアナを遠ざけ、お城の自室に閉じこもってしまうのでした。
しかし姉が成人して、女王の戴冠式に出ることから
アナは町に繰り出し、余所の王子と知り合いになります。
その王子と結婚しようと、姉に申し出たところ反対される。

この時も小さなイザコザが起きて、姉の魔法が露見してしまい、
町に次々に魔法の災いが生じて、王女は山に籠もるようになるのです。
そんな姉を探しに行ったアナが、氷職人のクリストフに助けられ、
なんとか姉を捜し出しますが、姉は氷の城を出ることができません。
そこへ下心のある王子たちがやってきて、王女は危機に陥ってしまう。

この王女の危機を、いったいどうやって救うのかと思ったら、
アナは自分を助けに来たクリストフを、迎え入れるよりも、
自らの命を省みずに、姉を助けようと我が身を盾にする。
この行動こそが、“真実の愛”として魔法を解く鍵となり、
そのことに気付いた王女が、自らの魔法をコントロールするようになり、
今まで呪いのようだった、氷の世界が溶けることになったのです。

なるほど昔のディズニー作品であれば、王子さまと王女さまは、
お互いに愛し合って、仲良くなれば全てが解決してめでたしめでたし、
というパターンだったのが、今回の作品では違っていたのです。
アナは真実の愛によって姉を救い、姉はそれによって目覚めたことで、
世界は再び冬の世界から夏の世界へ、戻ることができたのです。
王女は自らが持つ魔法を、コントロールできたことで。
これを自由に操り、世界は平和を取り戻すことができたのです。

真実の愛を、王女と王子の恋の話から抜け出させて、
ここでは姉妹の愛ではありますが、愛の本当の姿を問いかけた。
この問い掛けこそが、この映画が多くの人に愛されることになった、
大きな要因だったことは、疑いのない事実だと思います。
最後の最後にそれを知るまで、この映画の物語は僕らを騙し、
ありきたりの王子さま物語を装いながら、どんでん返しをしたのです。

今までのディズニーとは違う、一皮むけた大きな世界が、
見るものに勇気を与え、世界を見直す心を育てたと思うのです。
さすがディズニーは、独自の進歩を遂げたのであって、
これからどのような展開が始まるのか、おおいに楽しみです。
この映画は、そうしたディズニーの転機を示す名作だったのです。