男は黙って

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この写真を見て、懐かしいと思う人は、
どのくらいの年齢よりも、上になるのでしょう。
僕なんかさらに古い、白黒の写真を見ても、
なんだか懐かしい感じでしたが、よく覚えてはいない。
それでもこのフレーズは、長く親しまれていたし、
現代でも好きな人は、けっこう多いと聞きます。

「男は黙ってサッポロビール」、と言っても、
今日の話はビールのことではなく、男の沈黙について。
当時は男社会と言われ、このCMでも三船さんは、
やたら渋い顔をしながら、うまそうにビールを飲みます。
要するにゴチャゴチャ言わずに、黙ってビールを飲むのが、
かっこいいと思われたようですが、どうなんだろう。

このところ僕なんか、妻に何か注意すると、
「人の嫌がることを言うな」、と言われるのですが、
これはなかなか難しい注文で、しばし絶句してしまいました。
毎日の生活で、まったく嫌なことを言わないなんてのは、
できない相談なので、なにも言わないでいるしかありません。
じっさいにそう努力するなら、黙るしかないでしょう。

そこで思い出したのが、このフレーズなのですが、
当時は男の威厳を示していたはずの、こんなセリフでさえ、
時代が変われば、単に「男は口出しするな」と聞こえる。
ビールを飲むにしても、男は余計なことを言わずに、
黙って飲んでいればいい、と言ったニュアンスでしょうか。
どっちにしても、男が何か言うとろくなことがない?

男が強い社会ではもちろん、女が強い社会でも、
男は黙っていた方がかっこいい、と言うのも奇妙です。
たぶん多くの女は、男に何か言われるなら、
批判ではなくて褒められたい、だけど男は褒めない。
むしろ理屈っぽく、批判めいたことを言うので、
そんなら黙っていた方が、都合がいいのでしょう。

つまり「男は黙って○○○○」なんてのは、
相手を気持ちよくすることのヘタさを、呆れて、
どうせろくなことを言わないなら、黙っていなさい。
ってことだったのかも知れない、つまり最初から、
男をバカにしたフレーズで、それなのに喜んだ男なんて、
かっこいいつもりの、愚かな存在だったのかも・・・