「神去なあなあ日常」

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2009年5月に、徳間書店から出版された、
三浦しをんさんの小説、「神去なあなあ日常」です。
今年になって、映画化されると知って予告編を見たら、
これが何とも面白いので、小説を借りて読んでみました。
細かい設定は違いますが、都会の18歳が林業研修に参加する、
この様子を面白おかしく、だけどリアルに描いていました。

映画は、「ウオーターボーイズ」や「スウィングガールズ」の、
矢口史靖さんが、監督&脚本となっていますから、
面白そうなのは当然で、公開を期待していいと思います。
映画の題名は「WOOD JOB(ウッジョブ)」となっていますから、
原作のままではない!と言う、意気込みも感じますが、
過疎化した山の林業集落に入った、都会の若者を描いているのは、
どちらも同じですし、都会と山暮らしのギャップも面白い。

実はコミックで人気のあった、「銀の匙」が映画化されて、
その予告編を見ていたら、「WOOD JOB」の予告編もあったのです。
銀の匙」は、農業高校へ入った少年の話でしたが、
「WOOD JOB」は、林業研修に入った若者の話ですから、
どちらも都会育ちの10代の男の子が、第一次産業に入っていく。
一見ありえないような話しながら、実は最近注目されており、
実際にこのようなコースを進む若者が、増えているのでしょう。

神去なあなあ日常」を読むと、神を祭った山のことや、
神隠しにあった子どもや、神の使いのような妖精のようなものなど、
現代では忘れ去られたような“何か”が、頻繁に出てきます。
山の人たちは、それをあたりまえのように受け入れているから、
主人公の若者も、戸惑いながらそれを受け入れていく。
若者が受け入れると、山の人たちも彼を受け入れてくれる。
そんな実はあたりまえのことが、面白く描かれているのです。

僕はいつもこのブログで、都会より田舎暮らしを勧めていますが、
銀の匙」はまだ学園内の話であるのに、「神去なあなあ日常」では、
山の暮らしそのものが描かれて、少なくとも小説で読む限り、
共感できるものが、たくさん描かれていたような気がするのです。
神々と隣り合わせで、自然を崇めながら利用して生きる、
昔は当たり前だったそんな暮らしが、今では失われようとしている。
だけど失いたくない、とても貴重な“何か”がそこにはあるのです。

この映画が公開されたら、是非見に行きたいと思いますが、
小説と映画の違いや、なぜそうなったかを考えるのも面白そうで、
映画が公開される前に、小説を紹介しておきたくなったのです。
小説が持つ現実と非現実の境目で、僕らは自分の可能性を探りながら、
新しい世界へ踏み出すことも、出来るのかも知れません。
この小説にも、そうした“力”が備わっていると思いました。
 
 
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