トモダチ作戦・被曝訴訟のその後

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バルセロナに住む友人から、トモダチ作戦被曝訴訟のその後の状況が伝えられてきました。
何故かこうした情報は、日本のマスコミではあまり報道されることがないようなので、
少し長い内容になりますが、受け取った情報をそのまま転載させていただきます。
 
(以下転載)
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空母ロナルドレーガンの乗組員、東電に対し再訴訟。
汚染空母は横須賀基地東日本大震災で救助活動トモダチ作戦にあたった空母ロナルドレーガン
乗組員79名が、2月6日、カリフォルニア州サンディエゴの連邦裁判所に、東京電力に対し補償額が
10億ドル(約千億円)に届く訴訟を起こした。

福島第一原発事故で初期被爆をしたのは原発周辺の住民だけではない。
西から東へと流れる偏西風にのって放射性プルームは80%が海に流れたといわれているが、
福島第一原子力発電所の海側には、韓国軍との共同演習のため韓国領海にいた原子力空母
ロナルドレーガン人道支援ミッション「トモダチ作戦」を展開するため、3月11日から80日間、
放射線プルームを避けながら停留していた。

空母レーガンは震災の翌日には福島第一原子力発電所から1.6キロメートルまで接近した。
クルーによると、福島県で雪が降った日、空母は金属の味のする暖かい霧に包まれた。
これは、広島に原爆を落とした飛行士やスリーマイル島の風下に住む人たちの証言と一致する。

3月13日、原発から約200kmで6μSv/時の放射能を検出。その後は、原発から沖合に向かって90kmの
直線を引き、その先端から直角に45km伸びる直線を引いて、その両端と原発を結ぶ三角形を汚染海域と
みなして、その領域を避けた航海を心がけたが、被災地に供給品を届けるというミッションを遂行するため、
時には汚染海域を横切ることもあった。放射性プルームの真下を5時間航行したこともあったという。

トモダチ作戦終了から約1年半後の2012年12月、赤ちゃんを含む原告9名で起こされた訴訟は、被告東電が、
低線量被ばくでも健康に危害が及ぶことを認識していながら(第35項)放射能漏れが危険と認められるレベル
にまで上昇している事実を原告ロナルドレーガンの乗組員にも、そしてまた日本の住民にも警告しなかった
(第42項)だけではなく「すべてコントロールされている」などと繰り返し、原子炉のメルトダウンを隠していた
(第50項)こと、また日本国民だけでなく世界を欺くため、真実はそうでないことを知りながらも、原発周辺地域が
住むためにも働くためにも安全な場所であると宣布した(第58項)こと、原告を含む全住民に福島第一原発から
放射性物質漏えいの有無、漏えい範囲の拡大傾向、予想される健康被害等を随時警告する義務を怠ったこと
(第77項)などを指摘し、これらの違法行為の結果、低線量被ばくによる被害に苦しむことになった原告一人
につき1000万ドルの損害賠償、全員に対し総額3000万ドルの懲罰的障害賠償、さらに今後の原告の医療費
のために1億ドルの基金を設立することを要求すものであったが、被告東電だけではなく、日本政府の対応も
批判する条項が含まれていたため、連邦裁判所は日本政府がアメリカ政府に対し詐欺行為を働いたかどうかを
判断する立場にないという理由で2013年11月に一度は棄却された。

だが、今回は、ロナルドレーガン以外の艦の乗組員も加わり、新たに79名の原告団による再訴訟だ。
当初1月6日に提出されるはずだったのが1ヶ月遅れたのは原告が増え続けていたせいだと言われる。
アメリ国防省は、トモダチ作戦終了後、日本の自衛隊基地や米国基地の近辺13地域で作戦に関係した
アメリカ人とその家族、日本近海に停泊及び運行していた船舶25隻で作戦を遂行したアメリカ人、約75000人を
対象に3月12日から5月11日までの身体全体と甲状腺被爆線量を計算、トモダチ作戦レジストリ(記録)を
作成したが、被爆量は希少なものであり、この被爆が原因で身体不良が起きる可能性はないとの結論で、
2013年1月31日に、同記録の継続を打ち切った。これで被爆したアメリカ人に将来何らかの健康被害が発生
しても、統計的に被ばくとの関連を決定づける公式資料がなくなってしまった。今回の訴訟の原告団はオープン
であり、この75000人の中から今後さらに原告が増える可能性は高い。

原告団のほとんどは20代の若者である。しかしながら、白血病や精巣癌、脳腫瘍、胆のう腫瘍、甲状腺異常、下血、不正子宮出血、筋力低下、視力低下(失明)、偏頭痛などの症状が出ており、事故から7ヶ月後の2011年10月に
生まれた赤ちゃんには先天性異常が重なって発症している。安定ヨウ素剤は乗組員全員には配られていなかった。

米兵に身体障害が出ていることを受けて、米国議会は1月、2014会計年度の歳出法案に、トモダチ作戦に参加
した米兵の健康調査を行うことを盛り込んだ。これは指令であり法令ではないが、国防総省の広報官は、真摯に
受け止め全ての要求に応えるつもりだと答えており、健康調査の報告書は4月15日に提出される。

放射性物質が大量に海に流れていたことを知らなかった乗組員は、淡水化した汚染海水を飲み、シャワーを
あびていた。3月23日、岸から150kmに停泊し、高圧洗浄機とモップを使い海水で除染を行なった。
空母ロナルドレーガンの汚染はなくなったのだろうか。

1946年、米国海軍はビキニ環礁における核実験で2艘の船を使って、除染が可能かどうか試みた。
数ヶ月にわたりモップと洗剤、灰汁で洗浄を試みたが、5ヶ月後、再使用できる程放射線値は下がらず、
除染は無理という結論に達し、船は沈められた。

空母レーガンの乗組員の証言によると、トモダチ作戦後、空母は日本、韓国、グアム島への寄港を断られ、
サンディエゴ港に帰港するまでの2ヶ月、太平洋上にいたそうだ。その間、乗組員が除染の努力をし続けていた
ことは容易に想像できる(そして、乗組員はさらなる被ばくをした)。

サンディエゴ港で停泊したまま、出航の予定もなくスクラップにするにも汚染がひどすぎ、沈めるしかないと
うわさされていたロナルドレーガンが、2015年後半に空母ジョージワシントンと交代で神奈川県の横須賀基地
配備されると、今年1月15日に米国海軍が発表した。

2月6日付IPD国際政策ダイジェスト誌“福島事故の影響がメディアで充分に扱われていない中での汚染空母
ロナルドレーガン”と題した記事で、ピーター・リー氏は「60億ドルの空母レーガン放射能汚染を理由に沈める
なんて国防総省のプライドが許さない。放射能汚染に非常に敏感になっている日本の港にレーガンを停泊させる
ために、空母レーガンはしっかり除染されていると科学的統計的資料を駆使し、コストvs利益の関係で、日本人が
停泊を受け入れるように操作していくだろう。その方法は、安倍政権の手慣れたやり方。問題があることを知らせ
ない、流す情報は修正され、反対意見や情報は圧殺する。空母レーガン横須賀基地配備は日米同盟にも影響
を及ぼす可能性のある重大問題だ。この問題を今後メディアがどうカバーしていくか注目したい。」と述べている。
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以上です(着色イソップ)。