「ウィキリークスの時代」

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2010年12月2日に、このブログでも紹介しましたが、
ジュリアン・アサンジによって始まった、国家情報のリークは、
そのご止まることはなく、世界各国の政策に影響を与えています。
今日紹介する本は、このリークによって何がもたらされ、
新しい時代はどこへ向かおうとしているのか、検証しています。

ウィキリークスは、2006年に創設されたサイトであり、
2009年には、ケニアの超法規的殺人に関する情報の公開で、
アムネスティ・インターナショナルの「国際メディア賞」を受賞。
翌年2010年には、戦争による「付随的殺人」を暴露して、
アメリカの国防長官などと、決定的に対立するようになります。

特にこの年の前後には、この本にも詳細が書かれている、
ブラッドリー・マニング事件や、アフガニスタン戦争ログ、
イラク戦争ログなどのリーク公開によって、米国から指名手配。
米国の圧力によって、各国から彼を拘束しようとされていますが、
彼を擁護するグループもあって、今も拘束されてはいません。

それどころか、政府の不都合な機密情報をリークすることで、
戦争などの行為を、厳しく監視しようとする人たちが増えており、
ついにはスノーデンのように、内部からの告発だって出ているのです。
これらの人に共通しているのは、利害よりも使命感であり、
世界の現状に対して、危機意識を持っていると言うことでしょう。

この本には“ニューヨークタイムズ”や“ガーディアン”など、
世界の主要なメディアが、アサンジのリーク情報を共有して、
それを検証することで、戦争行為の愚かさを暴露する様子が描かれる。
僕らは政府の都合のいいように出される、戦争の情報ではなく、
ありのままログを見ることで、人権を無視した戦争の真実を知るのです。

こうした流れは、これからの時代に何をもたらすのかを、
著者のグレッグ・ミッチェルは丁寧に追跡し、新しい時代における、
ジャーナリズムの姿を、切り開くだろうと予測しているようです。
ネットを使ったリークだけでは、その意味が理解しにくいので、
既存のマスコミが、内容から読みとるものを抽出するのです。

日本では朝日新聞が、ウィキリークスを利用したようですが、
例えばニューヨークタイムズのように、新しい流れとして、
リークによる情報収集体制を確立するまでには、至っていません。
それどころか日本政府は、時代に逆行する秘密保護法を成立させて、
危ない道を進んでいるのが、残念に思われるのですが・・・