世界を揺さぶるスノーデン

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昨年世界を騒がせた、様々な事件や出来事の中で、
最も注目すべき一つに、スノーデンの諜報リークがありました。
彼はアメリカの国家安全保障局(NSA)と、中央情報局(CIA)に雇用され、
コンピュータセキュリティに関連した、システム管理者となって、
世界中の個人情報に関する、機密文書を管理していたのです。
その内容を報道機関に暴露して、アメリカ司法省から指名手配を受け、
彼は現在ロシアに滞在しながら、亡命を希望しています。

このリークに対する、アメリカの慌てようは見苦しいもので、
アメリカは世界中の影響力が及ぶすべての国に、強い圧力を加え、
彼を捕まえるために、あらゆる努力を惜しんでいません。
ひどいところでは、「スノーデンの亡命申請があれば検討する」とした、
ボリビアのモラレス大統領は、生命を危険に晒すことになった上に、
モラレス大統領の専用機は、フランスやポルトガルの領空通過を拒否される。
さらにオーストリアに止められて、機内捜索まで受けたようです。
こんな事が起きるのは、アメリカによる圧力意外考えられないでしょう。

スノーデンによれば、アメリカの盗聴活動は全世界に及び、
ドイツのメルケル首相に対する盗聴では、ドイツが抗議をしています。
日本も当然情報収集されていたと思われますが、奇妙なことに、
日本政府は何も調べもせずに、盗聴はなかったと公言しています。
またこのリーク事件のあと、彼がロシアに滞在している間には、
シリアで毒ガス騒ぎがあって、アメリカがシリア空爆を検討しますが、
ロシアの仲介によって、空爆が回避されると言う事件がありました。
これなどは、もしもスノーデンがロシアにいなかったら、
アメリカにとって、有り得ない回避だったかも知れないのです。

もはや世界中で、情報をどう扱うかが国家戦略の主要な部分を占め、
個人情報の保護などは、実際にはまったく考慮されていないのが現実で、
情報収集のリークは、国民に対する国家の信頼さえ揺るぎかねないのです。
現にアメリカやEUの人権団体からは、スノーデンを逮捕させない!
と言う声明も出ているようですが、これは国家権力が強いので難しいでしょう。
彼の亡命を受け入れると表明している国は、アメリカに服従していない、
南アメリカベネズエラニカラグア、そしてボリビアの3カ国がありますが、
ニカラグアオルテガ大統領は、信用しない方が良さそうです。

今のところ、ロシアからベネズエラボリビアへ行くには、
アメリカとの犯罪者引き渡し協定がある国を、通らざるを得ないので、
実際にはどうやって行くか、解決困難な難しい問題はあるようです。
日本などは絶対に無理で、彼を捕らえてアメリカに捧げてしまうでしょう。
しかしたった一人の人間が、信念に基づいて動いたことによって、
世界情勢は、一部の国家権力の思い通りには行かなくなったのですから、
新しい時代を読み解く上で、大切な鍵になることは間違いないのです。

先月スノーデンは、「コモン・ドリームズ」と言うニュースサイトに、
ブラジルにおけるアメリカ国家安全保障局NSA)の情報収集活動に対して、
抗議する書簡を公開し、次のような言葉を残しています。
「政府がその名において何をやっているのかを大衆は知る必要があります。
 そうでなければ、『統治される者の同意』など無意味なのです。
 情報が開示されなければ、統治される者の同意は、同意とはいえません。」
 「NSA の監視は『安全』ではなく権力のためのものだ」

そして次のような、有名な言葉を残しています。
 I would rather be without a state than without a voice.
 「声なき人間になるくらいなら国なき人間になる」
僕は彼を支持したいと思います。