自然を自然のままに残す価値

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僕のところには、高知の「生態系トラスト協会」から、
「森のしずく」と言う会報が、季節毎に送られてきます。
何年か前に、OJTて参加したプログラムが御縁で、
今も送られてくるのですが、本当にありがたい。
「生態系トラスト協会」は、日本に50近くある、
日本ナショナル・トラスト協会に登録された団体の一つで、
主に四万十川ヤイロチョウを初めとする、森の生態系を、
保護する目的で作られた、トラスト協会なのです。

トラスト協会とは、何をするどんなところか?
まだご存じない方も多いでしょうが、イギリスを発祥とし、
政府や行政に頼らず、市民の意志で自然を守るための仕組みです。
具体的には、市民がお金を出し合って山や森を購入し、
トラスト協会に託して、この自然を守っていくのですが、
政治判断に左右されずに、自然を守れるのが魅力でしょう。
政治家に任せると、経済的利益のために平気で自然を壊しますし、
たとえ今日の公約で守ると言っても、明日には壊すかも知れない。
そんな勝手な判断をさせないのが、トラスト協会なのです。

イギリスなどのヨーロッパにおいては、産業革命によって、
多くの自然が失われてしまい、この反省もあって、
自然を守る気運が、トラスト運動を広めたと聞いています。
自然を人間の経済利益のために利用するのではなく、
これを自然のままに守ることが、実は人間にも役に立つ。
役に立つどころか、人は自然を失っては生きていけないことを、
こうした運動に参加する人は、身に染みて知っているのでしょう。
そして認識は少し違いますが、日本にも同じように、
自然をそのままに守ろうとする、強い意志が続いています。

日本の場合は、産業革命が起きるはるか以前から、
自然は開拓する場所であると同時に、崇める場所でもありました。
多くの神社では、海や山や大木や大岩や森や湧き水などが、
そのままご神体であり、信仰の対象でさえあったのです。
こうした感性によって、日本の自然は大切に守られてきましたが、
戦後のアメリカ統治以降の価値感で、社会が経済優先になると、
自然は経済のために利用するものになり、破壊が進みました。
そして気が付けば日本中にビルが並び、自然が失われて、
あらためてトラスト協会などが、活動を始めたのです。

こうした違いこそあれ、自然は時に人間に優先する価値で、
僕らは常に自然界から総てを学び、暮らしを豊かにしてきました。
現代生活の身の回りに満ちあふれた、最新の電子機器さえ、
自然界の法則を抜きにしては、存在さえしないのです。
海山森里の自然を利用するには、必ず手つかずの自然を残し、
その自然との調和を計りながら、利用しなかればならない。
僕らは利便性に富んだもの以上に、そうしたバランスを感じるとき、
心に安心を得て、幸せな気分になれるのです。

なぜならそれは、“自分(自然)が大切にされている”
と感じられるからではないでしょうか・・・・