「きっとうまくいく」

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2010年インドアカデミー賞、史上最多16部門独占!
と言うことで、インド映画歴代興行成績ナンバー1、
インド映画の歴史を塗り替えた奇蹟の映画、とまで言う、
上映時間170分の映画を、なにげなく見始めてしまいました。
なにせTUTAYAの棚で、よくわからないままに手にとって借り、
特別期待もしないで見た映画ですが、これが面白くて、
途中の休憩もせずに、一気に最後まで見てしまった映画です!

旅行に向かう飛行機が飛び立つそのときに、メールが入って、
どうしても戻りたいファランは、仮病で飛行機を止めてしまう。
そして仲間のラージューを連れ出して、大学の思い出の場所へ行くと、
お目当てのランチョーではなく、チャトルしかいなくて、
大学卒業以来音信不通だったランチョーを、探しに行こうと言う。
そしてこのランチョーがどんな学生だったのか、物語が始まりますが、
ここで僕らは、彼の生き方に胸を揺さぶられてしまうのです。

インドのエリート工科大学の、入寮風景から始まりますが、
ここからすでに、自由人ランチョーの行動が見る人の心を掴む。
本当は技術者になるよりも、動物相手の写真家になりたいファランと、
家族のことばかり心配して、心が縛られているラージューと同室で、
3人は次第に親しい仲間になって、学長やチャトルと対立する。
ランチョーは学長に対して、この学校では学問をしないで、
試験で良い成績を取ることばかり教えている、と批判します。

いわゆるインドの古いカースト制を、新しい学歴社会に見て取り、
競争社会を生き抜くことよりも、学問をしようと訴える。
この校長の娘とは知らずに、潜り込んだパーティで恋に落ちますが、
それさえも、彼女のフィアンセをお金でしかものを見ないと批判して、
娘の心を傷つけてしまいますが、彼は妥協も物怖じもしないのです。
そしてラージューの父親の様態が、急に悪化したときに、
彼女が女医の卵だったことから、見てくれるように頼みます。

こんな風にテンポ良く進む物語は、飽きさせることなく進み、
大笑いしたり泣いたりしながら、心を釘付けにされてしまうのです。
しかもこの物語は、単なる学生時代の回想では終わらないで、
卒業後の成功を自慢するチャトルに誘われ、ランチョーを探す旅に出て、
謎だったランチョーの実像に迫ることで、興味は深まっていくのです。
常に大学でトップの成績を取り続けた、ランチョ-とは何ものか?
なぜ卒業後に行方をくらませ、連絡が取れなくなっているのか?

この謎解きの中で、物語はさらに興味深くなっていくのですが、
それが深刻ではなく、インド独特の社会環境を織り交ぜ、
誰もが嫌味なく納得できる、不思議な夢の世界に入り込むのです。
解き明かされる謎と共に、ランチョーの人となりが浮き上がり、
僕らはあらためて、この男の大きさや心の広さを知るのです。
そして所々に、インド映画では必須の楽しいダンスが出てきますが、
これも全く違和感がなく、すっかり楽しませてもらいました。

いろいろ書きましたが、とても短い記事に書ききれるものでなく、
映画が好きな人であれば、是非とも一度見ていただきたい、
心から多くの人にお勧めしたい、絶品の映画だったと思っています。
日本のロードショーシステムでは、インド映画を見ることは難しいけど、
ありがたいことにもうDVDが出ていますから、誰でも容易に見られます。
買うのが難しければ、僕のようにTUTAYAで借りて見ればいいので、
インド映画の面白さを、とくとご覧あれ!と宣伝しておきましょう。