2014~夜明け

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真っ暗な夜道を、小さな明かりを頼りに降りていくと、
左の岬と思われる方向に、灯台の灯りが見えてくる。
遠い灯りに方向を知り、手元の明かりに足元を照らされて、
いつもの砂浜へ、彼女の手を取って降りていくと、
さわさわと風の音がして、僕らは夜に浮き沈み行く。

背の高い防風林を抜けて、見えない海の前に進み出て、
明けてきた水平線に向かい、僕らは砂浜に座して時を待った。
やがて東空は灼熱色に、焼け石のような雲が広がり、
いつのまにか砂浜の一帯まで、燃えるように赤くなって、
暁光に相応しい赤色が、闇を切り裂いて島を走る。

夜はこのようにして終わり、新しい一日が始まるから、
僕らは予感にしたがって、また東の浜へ降りていく。
古くなった年月もまた、このようにして終わりを告げたなら、
僕らが見ているのは、予兆に導かれた新しい年の始まりだ。
明けるべくして明けていく、新しい時代の夜明け。

時はいつのまにか、新しい時代の模様を織りなすけど、
それは必ず予兆を伴い、東の空から鮮やかに現れる。
夜の闇の中で紡ぎ出された糸が、縦に横にと重なり合って、
どんな織物になるか、織り人は早くから思い描いているのだから、
闇の中を歩いても、必ず美しい夜明けに出合うことが出来る。

夜の中でも明るい昼を思い、昼の時にも闇夜を思い、
パステージさながらに、たくさんの可能性を描くことで、
古さを織り込みながらも、斬新で輝かしい新しい時が描かれる。
新しい時代の夜明けは、もうとっくに始まっているのだから、
僕らは闇のとどまることなく、東の浜へ降りて行こう。

月星の夜を越えて
空を焼く予兆が現れると
もう日は明けている
暁光にふさわしく
美しく天空を焼いて