「アメリカに潰された政治家たち」

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満州に生まれ、外務省、駐ウズベキスタン大使、
国際情報局長、駐イラン大使、防衛大学校教授と歴任し、
日本の中枢から世界外交の表裏を知る、孫崎享さんが、
昨年秋に出版された、日本政治事情の暴露本です。
僕は孫崎さんは知っていましたが、本のことは知らず、
今回はたまたま図書館で見つけ、読んでみたのです。

内容的には、ある程度知っていたことと知らないことと、
事実関係の裏を通す糸が見えて、全体が明瞭になりました。
いわゆる戦後のアメリカによる、日本支配の構図が、
腹立たしいほどにわかり、様々なことが腑に落ちたのです。
いわゆる日本を自立させようとする政治家と、それを拒んで、
どこまでもアメリカに従属する政治家の、抗争の記録です。

3,11原発事故のあとで、多くの人が脱原発を叫び、
国会や首相官邸の周りに集まって、デモを繰り広げましたが、
こうしたデモは、60年安保のデモとは全く違っている。
その意味を分析する中で、60年安保当時の岸首相が、
なぜ退陣に追い込まれたかを、アメリカ情報局の謀略として、
詳しくわかりやすく分析するのも、納得できる内容でした。

同じようなことが、佐藤栄作田中角栄竹下登と続き、
それぞれ一度はアメリカの支持を得て、日本の首相になる。
しかし佐藤栄作は、ニクソンとの密約を反故にして、
田中角栄は、アメリカを出し抜いた日中国交正常化の実現で、
竹下登も、防衛責任の増強を拒否したことで失脚していく。
それぞれ失脚の理由には、アメリカが仕組んだ罠があるのです。

まるで小説を読むかのような、トリッキーな話ですが、
アメリカ情報局というのは、世界中でそうしたことを実行する、
戦略的実行部隊であることを知れば、納得できるのです。
こうした情報戦が、どうして日本ではうまく成果を上げて、
他の国ではうまく行かなかったのか、わかりませんが、
おかげで日本の戦後復旧が実現したのも、理由のあることです。

3,11のような、未曾有の大災害に遭遇してさえも、
日本人はパニックに陥ることなく、復興に取り組みますが、
放射能の前では、為す術もないことも事実です。
これだけの大惨事に、どのように再生していけるのか、
世界中が注目するのは、大戦後の状況と同じだからでしょう。
この新しい時代に、どんな新しい復興があり得るのか。

日本がどのように再生するのか、世界中が注目する中で、
一度はアメリカの意志に服従しながら、自らの力を養って、
最後はアメリカの言いなりにならずに、日本独自の主張をする。
安倍首相にも、そのような気骨があるのかどうか?
あまり期待は出来ないながらも、やはり考えてみるのです。
なぜならそれこそ不死の和魂、日本精神の真骨頂だからです。
 
 
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