田中優さん講演会

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富山大学の理学部多目的ホールで、田中優さんによる、
放射能下の日本で暮らすには?」と題する講演会がありました。
田中優さんは、3,11以前から原発問題を厳しく取り上げて、
鎌仲ひとみさんと並ぶ、反原発活動の中心にいるひとでしたから、
僕らも東京平和映画祭を初めとして、何回となく講演を聴きました。

だけど3,11以降は、多くの人が脱原発を唱えるようになって、
気が付けば僕の場合、優さんの話を聞くのが久しぶりになっていました。
それでも彼の話は、他の誰よりも幅広い知識と信頼感があり、
あらためて、長年に渡って積み上げてきた努力の力を感じました。
著作も多く出ており、今回の講演テーマは本の一冊から取ったものです。

今回は会場が富山大学の理学部校舎で、田中優さんの話だけではなく、
理学部教授の横畑泰志による「福島のモグラに何が起こっているか」と、
同じく教授の丸茂克美さんいよる「環境中の放射線を計るということ」の、
二つのお話しも、同時に聞かせていただくことが出来ました。
ちょっと盛り沢山すぎて、時間が足りなかった気はしますが・・・

いつも田中優さんのお話はわかりやすく、勉強になるのですが、
今回の話の中で、今まで気付かなかったいくつかのことを知りました。
僕らは放射能を、α線γ線β線X線を分けて考えるときに、
ストロンチウムは危険なβ線だけど、計測されることが少なく、
比較的危険が少ない?セシウムなどの線量が、よく公表されています。

そこでセシウムだけなら、さほど危険性が高くないと思いがちですが、
実はストロンチウムなどのβ線放射能は、計測が難しいので、
簡単に計測できる、セシウムなどの線量が公表されることが多い。
だけどセシウム量の22%ほどは、必ずストロンチウムが出ているとか、
アルファ線の測定器は、持ち込みが禁止されているとか聞きました。

これだけ隠蔽された知識と情報で、安全を宣言されたって、
まともに知識がある人なら、誰も信じなくなるのが当然でしょう。
例えばヨウ素は、β線を出すことでキセノンになるのですが、
さらに出してセシウムになり、バリウムになったあとγ線を出す。
そのセシウム量の2割のストロンチウムも出ている、とわかるのです。

これだけ大量の放射能が蔓延していると、この先どうなるのか、
一番参考になるのが、チェルノブイリの事故後の調査だと思われます。
それによれば、事故から7年~10年後に病気の子どもが9割を超えて、
さらに複数の疾病を抱える子どもが、増えてきているというのです。
子どもたちが病むとは、未来が病むことに他ならないのです。

話は尽きず、講演会のあとには喫茶店で交流意見交換会もありましたが、
僕は昨日一昨日と体調を崩して、この日立ち直ったばかりだったので、
無理はせずに家に帰り、おとなしくしていることにしました。
それにしても今回も、会場には小さな子どもたちが大勢来ていて、
お母さんたちの関心の高さや、不安が大きいことを感じさせました。