「津波避難タワー」

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藤原充弘さんの執筆により、今年の3月に出版された本ですが、
世の中には面白い人がいるものだと、感心させられました。
藤原鎌足公の末裔ですが、何か財があるわけではなく、
ただ先人の生き方を粋に感じて、自分も継承しているようで、
その生き方が真面目で、人生を興味深いものにしています。

彼は貧しい家に生まれて、いわゆる立身出世を夢見ますが、
夢を単なる夢にしないで、実現していくところが魅力的です。
自称発明家として、様々なものを発明しているのですが、
津波から人を守るタスカルタワーなど、ユニークなものが多い。
そうしたユニークな発明は、最初は人から相手にされず、
苦い思いもしたようですが、彼の本気度が展望を開きます。

36歳で独立起業するのですが、油圧関連の商品を扱いながら、
取り扱う商品に疑問を感じると、自分でそれを改良していく、
その積み重ねによって、信用を得ていったのでしょう。
下水処理場の、沈殿池の表面に浮かぶゴミを処理する、
「フジフロート自動スカム除去装置」の開発で、売り込みに入る。

売れるまでには何年も掛かるのですが、商品には自信があるので、
やがて目を掛けてくれる人が現れ、売れ始めるのです。
こうした発明品を販売して、会社経営をしていく様子が、
一つの物語を持って、とても興味深く続いていきます。
津波から命を守る、砂漠に雨を降らす、と言ったコンセプトで、
「命を守るフジワラ産業」を、大きく育てた記録でもある。

自分の生い立ちや、先祖のルーツを探っていきながら、
社会貢献を目指して、「平和を発明したい」と言うところは、
たしかに発明家としての自負があって、興味が尽きません。
新しい発明品に対して、実現「出来ない理由」ばかり言う人は、
結局何も出来ない!と断定する、出来る理由も面白いのです。