「思いやりのこころ」

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3.11があってから、人の絆というか、
人間関係の大切さを説く本が、多数出ました。
この本も、その手の本ではあるのですが、
最初に出たのが、平成19年とのことですから、
加筆修正して、新装版として再編集されたものです。
3.11以前から、変わらず伝えようとしていた、
「思いやりのこころ」に興味を持ち、読んでみました。

読み始めてまもなく、富山の薬売りの話が出てきて、
“先用後利”なんて言葉が出てきましたから、
富山のことに詳しい!と思ったら、富山出身者でした。
そう言えばYKK吉田工業や、仏教の教えが出てきて、
いかにも富山県人が好きそうな話題で、面白いでのす。
内容的には生真面目で、目新しいこともないですが、
いくつか心に残るエピソードもあって、心に残りました。

その一つは、「地獄の箸と、極楽の箸は、どちらが長いか」
と言う奇妙な話で、地獄と極楽の食事風景が出てきます。
地獄の食事では、食事は豪華なのに長い箸でうまく食べられず、
「その長い箸を必死に動かして、ご馳走を自分の口へ入れようとするが、
 できるはずがない。イライラして、怒りだす者もいる。それどころか、
 隣の人が箸でつまんだ料理を奪おうとして、醜い争いが始まる・・・」
と書かれており、なるほどそんなことも人間社会を見るようです。

それでは極楽ではどうなのかと言えば、表題では「どちらが長いか」
と書かれているにもかかわらず、箸の長さは同じように長い。
あれっ?と思って先を読み進めると、なるほど穿った話が載っている。
「自分さえよければ、他人はどうでもよい、
 という我利我利の考え方では、幸せはやってこない」
と締めくくられると、なるほどうまいことを言うものだ!と感心します。
このような話は、何かの仏法説話にでもあるのでしょうか。

「みなしごサーヤと給孤独長者」に出てくる“無財の七施”も、
仏教の経典から取った話のようですが、とてもわかりやすく、
自分にも役立てることができそうな、知恵の一つがあるのです。
それは、①眼施、②和顔悦色施、③言辞施、④身施、⑤心施
床座施、⑦房舎施、と言うもので、この意味について、
興味がある人は、この本を一読してみてください。
優れた本と言うよりは、要を持っている本だと思いました。