「フタバから遠く離れて」

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やっぱりこの映画のことは、書いておきましょう。
25日の日曜日に、小矢部クロスランドで自主上映された、
村民全員が村ごと移住させられた、双葉町のドキュメンタリーです。
昨年の3.11原発事故の直後から、年末までの9ヶ月間、
映像作家の舩橋淳さんが、被災地ボランティアを続けることで、
住民との信頼関係を築きながら作り上げられた、リアルな作品です。

前代未聞の事故を起こしながら、誰も責任を取ることなく、
大丈夫だ!と言い続けてきた、政府と東電のふてぶてしさの陰で、
せっかくの放射能予測データももらえずに、被曝してしまい、
難民となって、埼玉の廃校のあとに住み着いている双葉町の人々。
彼らのことは、新聞テレビではほとんど取り上げられることもなく、
原発被害は無いことにされて、政府は事故の収束宣言まで出したのです。

その現実はどうなのか、映像作家としての舟橋さんは、
自分で解説することなく、町民の声を通して本音に迫っていきます。
国会や自民党本部へ、どうしてくれるんだと抗議に行った時は、
自民党の議員団が整列して、近づいてくる被害者に手を差し出して、
まるで選挙運動のように、両手で握手して澄ましていましたが、
町民は素朴に、何で握手するのかと訝しく思うのです。

原発を推進してきた双葉町の戸川町長は、過去を振り返り、
出稼ぎでしか食べていけなかった町が、原発で経済が潤った時代から、
原発施設が減価償却されて、税収が減ってくると赤字になる中で、
さらなる原発依存を深めたことに、最後には反省の言葉を言うのです。
原発で得た利益と、今回の事故で失ったものとを天秤に掛ければ、
失ったものはあまりにも大きく、取り返しがつかなかったと。

こうした優れて考えさせる映画は、商業映画の陰に隠れて、
なかなか見る機会はないし、人も集まらないのですが、
この映画は、ドキュメンタリーとしての完成度も高いので、
是非とも多くの人に見て欲しい、そう思わずにはいられませんでした。
これだけの悲惨な事故を起こす原発を、それでも稼働させたいのは、
僕にはどう考えても、真っ当な神経があるとは思えないのですが・・・

予告編や上映場所、自主上映の案内は、下記公式サイトから。
http://nuclearnation.jp/jp/?pScintro-content