日本人の人権

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日本の国内で、人権に関するニュースを聞いていると、
中国のチベット民族に対する人権蹂躙や、ティモールの話し、
あるいはイスラエルによる、パレスチナ人への迫害など、
海外の話ばかりで、日本の国内には問題がないかのようです。
ところが国連の人権を扱う機関では、日本が問題になることも多く、
以前は女性差別が大きな問題で、警告を受けたこともあります。

そして今年は、福島原発事故を受けた避難状況について、
国連人権理事会の特別報告者、アナンド・グローバー氏が、
日本政府を非難する会見を開き、人々に注意を訴えていきました。
例えば放射能漏れがあった場合、世界の常識ではヨウ素罪を配布して、
すぐ服用させると同時に、安全な方向へ避難させることが大切です。
ところが政府も東電も、SPEEDIなどの情報を隠す一方で、
事故現場からの円周距離で非難させるという、非道を行ったのです。

これによって、いかに多くの人が間違った避難をして被曝したか、
ホットスポットによって、大量被曝した人も大勢いる上に、
こうした避難民の許容放射線量を、問題ないと言ってきました。
年間100msvを許容範囲として、発ガンリスクまで否定して、
チェルノブイリの教訓も、まったく無視する凄まじさでした。
しかも健康調査で調べられた結果が、本人には知らされないし、
手に入れようとすれば、複雑な情報公開の手続きが必要なのです。

さらに作業員に関して言えば、何重もの下請け構造で、
誰がどの程度被曝しているのかも、誰にもわからない状態で、
日本独特の無責任体質が、これほど如実な現場もないでしょう。
この人たちの健康に関する人権は、どうなってしまっているのか?
グローバー氏はさらに、避難所生活によって切り裂かれる家族を挙げ、
家族離散などの不和にも責任があり、しかるべき対策を考えて、
こうした問題にも、政府が取り組まなければならないと言及します。

そしてもう一つ、僕がどうしても聞き捨てならないのが、
子どもや妊婦や幼い子を持つ母子などが、どのように暮らすか、
何も決定権を持っていないという、まことにお寒い状況です。
相変わらず強い権利を持つ人ばかりが、自分のやりたいようにやって、
社会的弱者はその決定に従い、周囲の慈悲に縋って生きることを求める、
こんな非人権的なことが、日本で相変わらず続いているのでしょうか。
日本人はまず、自国の人権を守ることから始めなければなりません。

この会見の様子は、インターネットで公開されていますので、
関心がある人は、直接見ていただければより深くわかるかも知れません。
http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=DeWz2Xj8jH0
それにつけても思うのは、日本人の独特な精神構造というか、
勝てば官軍の名の通りに、弱者は強者に従うのが当たり前という考えで、
社会的弱者となる人は、長いものには巻かれることを常識として、
普遍的人権など求めもしない、不思議な精神構造があると言うことです。

国内の知識人では、こうした考察が出来ないのであれば、
せめて海外の、例えば国連から派遣された報告者の指摘をもって、
積極的に人権を守る方向に、動いてもらいたいと思うのです。
さらに言えば、こうした内容は以前から日本でも言われたことで、
それが全く活かされない、日本の政治システムにも残念さを覚えます。
僕らはまず自分たちのこととして、人権を守る国民になりたいです。