女の視点

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最近は防災計画などで、女の視点を問われることが増えました。
男女平等参画推進委員会などが中心になって、自治体の防災計画などに、
女性の視点を取り入れなければ、問題だというわけです。
しかしこの女性の視点とは何かを どこまで考えているのか、
どうして女性の視点が防災に必要なのか、わかる人は少ないようです。

先日も僕らは、Nプロの勉強会でこの問題を取り上げて、
男女共同参画推進の視点から防災や震災とは、どんなことなのか?
なぜ防災計画に、男の視点と女の視点を考える必要があるのか?
根本的なことを話し合い、相互理解を深めることを試みたのです。
わかっているようでいながら、言葉で表現するには難しさも伴います。

よく言われる、新潟の震災で明らかになった女性視点の欠如では、
例えば避難所におけるプライバシーや、生理用品の不足など、
男の防災意識だけでは気が回らない、細かな準備のことがあるでしょう。
だけどそれ以上に大切なのが、意識や価値観の再構築に関わることで、
これがわかっていないと、男女共同参画の意味を見失います。

僕らは現代の社会的なシステムにおいて、男性的な合理性を重んじ過ぎて、
あまり合理的ではない、人間的な価値を切り捨てていることが多々あります。
それをしっかり意識して、もう一度大切な価値であることを再認識して、
合理的でないものや効率の悪いものでも、切り捨てない価値観を守っていく。
こうした意識転換こそ、男女共同における女性視点の復興なのです。

今世紀になって重要視されてきた、生物多様性スローライフなど、
20世紀に伸びた、科学万能の合理社会とは違う価値観によって、
僕らは将来に向けて、新しい価値観を構築して育てようとしているのです。
そんなときに、比較的柔軟で目前の問題に正面から取り組む女性視点が、
遠くを見て理想を語る男性視点よりも、重要になってきたと言うことです。

具体的には、理屈で決めたことを守るよりも優先すべきことがあって、
目の前で苦しむ人を、どのように助けるかが優先する課題になるわけですが、
たとえ合理的でなくても、その人の苦痛を無視しないで助けようとする。
合理的な役に立つことよりも、いのちの求めに寄り添ったルールを作ることで、
安心して身を任せられる社会を作ろう、とする流れなのだと思っています。

誰かが言ったとおり、この参画に一つのゴールがあるとすれば、
「合理的でない価値が、合理的な価値と同等に扱われるようになった時」
と思ってみれば、少しはわかりやすいのかも知れません。
その目指すところは、取りこぼしのないあらゆる人々の幸せでしょう。