「四つのいのち」
第63回カンヌ映画祭の監督週間で、最優秀ヨーロッパ映画賞を受賞した、
ミケランジェロ・フランマルティーノ監督の、「四つのいのち」を見ました。
まず印象的だったのは、セリフやナレーションがまったくない作品で、
なにげない毎日の暮らしの様子が、淡々と映し出されている新鮮さです。
人間の言葉が全くないことで、余計な価値観なしに映画を見ることが出来る。
ミケランジェロ・フランマルティーノ監督の、「四つのいのち」を見ました。
まず印象的だったのは、セリフやナレーションがまったくない作品で、
なにげない毎日の暮らしの様子が、淡々と映し出されている新鮮さです。
人間の言葉が全くないことで、余計な価値観なしに映画を見ることが出来る。
撮影された場所は、カラブリア地方というイタリア半島の爪先部分で、
北部イタリアの洗練された工業産業地帯と違い、昔ながらの生活が息づく、
質素で素朴な、まさしく自然に近しい生活を続けている山深い小さな集落です。
ここでヤギの放牧を続けている老人が、やがて力尽きて死んでいくとき、
新しいヤギの命が生まれて、家畜として育てられていくのですが、
あるとき山へ放牧に行く途中で窪地に嵌り、仲間とはぐれてしまいます。
子ヤギが身を寄せた大木の樹が、やがて季節が巡って村の祭りの木に選ばれ、
切り倒されると、大勢の若者によって村に引き運ばれて立てられる。
祭りが終わると炭焼き職人に引き取られ、炭焼き釜の中心に据えられて、
火力を高める大切な木材になって、自らの生涯を終えていくようです。
こうした一連の流れが、何の説明も無しにスクリーンに映し出される映画です。