「大往生したけりゃ医療とかかわるな」

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図書館の受付に立ててあった本ですが、面白そうに思えたので、
急遽他の本と一緒に借りて、一気に読み通してしまいました。
幻冬舎新書シリーズ、老人ホーム診療所の医師中村仁一さんの著書。
副題に“「自然死」のすすめ”とあって、現代医療に対する警鐘と、
医療などに関わらないで、自然と自分を生きる姿が書かれていました。
これは我が意を得たり!って感じの、楽しい内容の本でした。

僕は東京でのサラリーマン時代には、普通に医者を利用して、
定期健診などにも必ず参加する、いわゆる医療信者だったのです。
若くて元気な時は、面倒くさいくらいで良かったのですが、
自律神経がおかしくなった時は、医療なんか役に立ちませんでした。
しょうがないから心療内科のような、わけのわからない所へ行って、
何も治せないまま、仕事を辞めて田舎に戻ることを決めたのです。

要するに忙しい自分の暮らし方が、問題の原因だと思ったので、
田舎でのんびり暮らして、自分を取り戻したかったのです。
試みを実行に移したことで、自律神経の失調は回復しましたが、
田舎暮らしの定期健診で、高血圧やら血便やらが引っかかり、
イヤな検査を散々受けたあげく、直腸ポリープの切除手術をしました。
今思えばやらなくて良かったのですが、ついでに疣痔の痔核まで切られ、
三日間ほど入院して、十万円ほどの出費をしたように思います。

だけど辛い思いやイヤな思いをしただけで、体は何も変わらず、
疣痔の方も以前と変わらず、どうなったかと聞けば問題ないの一点張り。
一体何のために検診を受けたのか腹立たしくなり、それから以後は、
どんな無料健診でも、一切関わらないようにしています。
以来医者に掛かるのは、死ぬ時だけで十分だと思っていますが、
この本には、死ぬような大病でさえ医者は必要ないというのですから、
いったいどんなことが書いてあるのか、興味のないはずがない。

するとまず第一章で「医療が“穏やかな死”を邪魔している」とあって、
医療過誤によって、治療しないよりも過酷な現実があると言います。
そう言えば僕も以前は、熱があれば熱を下げる行為をしたし、
咳が出れば咳を止めた方がいいと、理由も確認せずに信じ込んでいた。
だけど傷口でさえ、消毒すれば自然治癒の力まで殺してしまうので、
今では水洗いだけして、消毒せずにバンドエイドで傷口を守っています。
同じように熱や咳なども、薬ではなく安静にして回復を待っている。

様々なワクチンの是非が言われ、数年前のインフルエンザワクチンでは、
国民の全部に行き渡らないと、摂取の順番まで大騒ぎしていました。
だけどこの年のシーズンに、インフルエンザで亡くなった人は204人、
予防接種で亡くなった人は、133人だと言いますから何かおかしい。
毎年日本国内では、細菌性髄膜炎で亡くなる子は11人余りですが、
ワクチンの予防接種後に亡くなる子も、7人前後いるようです。
政府マスコミが、こうした事実を報道しないのも奇妙だと指摘します。

その後も本の中では、現代医療の疑問点が連ねられて、
“「できるだけの手を尽くす」は「できる限り苦しめる」”だとか、
“がんは完全放置すれば痛まない”と言った内容が続いています。
要するに様々な検診を受けて、その検診の結果病気の可能性が発見されて、
次々に医者に掛かって心身を苦しめられ、大金を支払わされて、
これが高齢者の場合には、結局完治することなく医者通いが日常になる。
こんな医療をいつまでありがたがって、信じているのかってことです。

僕はもう無料の健康検査の案内が来ても、うかうか引っかかりませんが、
マスコミが作った健康ブームの現代は、健康のためには何でもする。
次々に薬やサプリメントを手に入れ、専門医を尋ね歩いて診察を受け、
少しでも健康になるために、心身を痛めつけて高額のお金を払うのです。
なんだかバカみたいに思うのは、不信心な僕だけかと思ったら、
こんな風に本まで出して、警鐘をならす医者だっているんですね。