GNH(グロス・南砺・ハッピネス)の取り組みに向けて

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もともとGNH(Gross Nationnal Happiness)とは、
ブータンの先代国王、ジクメ・センゲ・ワンチョクさんが提唱した、
その国の国民がいかに幸福かを示す、指標となるものですが、
今回は関西大学の草郷孝好さんが、これを南砺市用にもじって、
グロス・南砺・ハッピネスの取り組みに向けて」と題して講演されました。
これは以前から、田中南砺市長の取り組みであるところの、
~経済のものさしから、豊かさのものさしへ~、の一環として、
幸せとは何かを考えるシンポジウムのなかで、講演されたものです。

昨年は3.11の後を受けて、人の幸せを再考する気運が高まり、
折りしもブータンの若い国王が、新婚旅行として日本に来られたことから、
国内でもGNHが話題になることが、増えていたと思います。
そんな時に、日本の都道府県を幸福指数でランク付けした研究発表があり、
富山県は全国で2位という、高い評価を受けたわけですが、
草郷さんはこれを、「バランスの良さが日本で一番」と紹介されます。
しかしながら富山県は、自殺者が多いことも確かであり、
幸福の実感は果たしてどれだけあるのか、疑問でもあるでしょう。

そもそも何をもって幸福と感じられるのかの、個人差は大きく、
すべての人が幸福だと感じられる社会は、果たしてどんな社会か?
まずこのあたりから検証しないと、絵に描いた餅になるしかありません。
そこで国民の97%が幸福だと言う、ブータンから学ぶわけですが、
ブータンにはGNHに4本の柱があって、憲法でこれを守ることを定めている。
この4本の柱とは、1、公正な社会経済発展。2、環境の保全
3、文化の保存。4、よい政治。となるのですが、2と3は良いとして、
「公正な社会経済発展」や「よい政治」は、なかなか難しいところでしょう。

戦後の日本では、経済が発展して拡大することが豊かさであり、
この方向性の基に幸せを求めてきた結果、経済成長の呪縛があって、
経済が膨らまないことには、幸せになれないと思い込んでいる人が多い。
しかし有限社会で無限に経済拡大を求めれば、格差社会を生じ、
社会に様々な歪みを生んでしまうことは、すでに明らかな事実でしょう。
したがってこの意識の改革なしには、新しい幸せは見出せないわけですから、
僕らは早くから、お金経済に頼りすぎない社会づくりを目指して、
まずは食とエネルギーが自給できる、地域社会を作ろうとしています。

しかし今回のシンポジウムに集まった人の意見でも、経済に対しては、
少しでも多くのものを売ろうとする拡大意識が、当然のようにある。
「公正な社会経済」や「よい政治」とは、一体どんなものか?
僕らはまず、こうした根元的なところから議論する必要があるでしょう。
実は協働による「まちづくり」が大切な理由も、ここに本質があって、
僕らは何をもって公正とし、何をもってよい政治とするのか、
古い価値観に縛られることなく議論するために、協働が必要なのです。
地域における食とエネルギーの自給は、これを保障するためのものでしょう。

草郷さんの話は、グロス・南砺・ハッピネスの可能性として、
南砺市羅針盤をGNH型の豊かさに置く。
・GNH社会の柱は:社会経済、環境、文化、政治活動、+利他と協働。
・南砺にあるものを大切に育てていく。
とすれば切り開けるのではないかと、具体的に示唆されていました。
いわゆるブータンの4本柱に加えて、「利他と協働」を大切にして、
南砺の生活が持っている魅力をさらに磨けばいい!と言うものです。
南砺に足を運ぶと幸せになれるような、日本の幸福の聖地になれたらいいですね!