「第4の革命 エネルギー・デモクラシー」

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3.11の福島原発事故を受けて、ドイツではメルケル首相が、
2022年までに脱原発を実現する、と公約しました。
ドイツは1990年に「電力買い取り法」が出来ており、
さらに2000年には「再生可能エネルギー法」ができて、
風力発電太陽光発電の導入が、一気に進んだ国です。

ところがこの数年においては、世界的な経済危機を背景に、
あらためて原発を利用する流れがあり、動向が注目されました。
国内に勢力を拡大した「緑の党」も、一時の勢いを失い、
ドイツがこれから、どのようなエネルギー政策を採るのかが、
世界のエネルギー政策に、影響を与えると思われたのです。

そんな状況の2010年に、ドイツで公開されてヒットし、
13万人の観客動員をしたのが、このドキュメンタリー映画
「第4の革命 エネルギー・デモクラシー」だったのです。
しかもこの映画は、エネルギー自立のためのイベントと繋がり、
ドイツの多くの地域で、草の根的に広まっていったことで、
人々の意識は、エネルギー自給に向かっていたと言えるでしょう。

そんな時期に、日本では福島原発事故が起きたことで、
この映画は5月に2度も、全国放送のテレビでオンエアされ、
6月6日には、メルケル首相は「脱原発」を閣議決定したのです。
機会があれば見たいと思っていたこの映画が、富山県内でも、
フォルツァで上映されると聞いて、さっそく見に行ったのですが、
混雑など心配することもなく、観客は10人にも満ちません。

そして映画の内容ですが、確かに悪くないのですが、
すでにこの一年間に、MLなどで紹介されたことが多くて、
特に目新しいことはなく、意外な感じさえしたのです。
何が意外かと言えば、この映画で紹介されている内容は、
日本でもエネルギー問題に関心がある人なら、知っているのに、
ドイツでは脱原発を決めたのに、日本ではそれが出来ない。

しかし考えてみれば、その理由は明らかにも思われました。
ドイツはこの20年間に、自然エネルギーの導入を進め、
単にエネルギー源を替えるのではなく、社会の構造変化を求めた。
それは大企業の独占的な生産や発電から、小さい地域や家庭に、
分散的に作るようにすることで、有限資源の奪い合いから脱却し、
無限にある自然エネルギーを使う、先端技術国への脱皮なのです。

産業革命によって巨大企業が生まれ、金融経済によって肥大し、
世界中がお金経済に振り回されて、環境破壊が進む中で、
ドイツの選択は、単なるエネルギーの代替えをするのではなく、
大企業中心の社会から、市民中心の社会へ変革することなのです。
だからこの映画はデモクラシーであり、そこに価値があるのですが・・・

残念ながら民主主義が根付かない、今の日本の多くの人には、
まだこの映画の真の価値は、理解されないのかもしれません。