問題を起こさない考え方

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今週は天気が良かったこともあり、苗床作業が進みました。
頼成の自然農園でも、連日誰かが田んぼにやってきて、
自分の区画の中に、苗床のエリアを作って種下ろしをします。
鍬を振るう力仕事や、細かい種籾を並べる根気のいる作業もあり、
昔ながらの農作業は大変ですが、自分の身体を使うのは楽しい。
自分の手足を使って出来上がっていく、苗床を見るのは、
お金を出して買ってくる苗とは、通じ合うものが違います。

自然に近しく営む自然農は、天候に左右されやすいので、
日本のすべての農業を自然農にするのは、無理があります。
だけど多収穫ばかりを目指す近代農業の中で、そうではない価値、
手間暇を掛けることで、安心安全な美味しい作物を作ることが、
新たに求められてきたことも、間違いのない事実なのです。
石油に依存しない農業という点でも、自然農にはノウハウがあり、
日本における持続可能な農を考える意味でも、重要だと思うのです。

簡単に「問題を起こさない生き方としての自然農」と言っても、
それでは何が問題なのか、問題意識を持たない人が多いのですが、
主な点を挙げれば、次のようなことが考えられます。
それは土の上に立って、自然を感じながら農することにより、
(A)人々に貧富の差を作る金融経済に、流されないで生きる。
(B)ただ消費するだけの生活者にならずに、自律的に生きる。
(C)世間の知識や教養を鵜呑みにせず、自分の感性で生きる。

こうした意識がしっかりあれば、原発のような巨大産業に頼らず、
もっと自律的に、民主的に生きることが選択できますし、
人の痛みを無視するような、利益中心の仕事もしなくて済むのです。
エネルギー問題も食糧環境問題も、人間が作りだしたものだから、
自然農の根本的な考え方と同じように、自然に沿って考えれば、
問題を解決しようとするのでなく、問題を起こさなければいいのです。
何よりもまず、問題を起こさない経済システムが必要なのです。

問題を解決しようとすれば、経済を拡大しようとするわけですが、
問題を起こさないためには、経済は小さい方がいいのです。
循環型社会だって、経済を拡大して実現するのではなく、
なるべく小さな経済で、人々が幸せに暮らせるようにすれば、
意図しないでも、自ずと持続可能な循環型社会になっていきます。
これが、経済至上主義ではない幸福の求め方であり、
万人の幸せを実現するための、ステップになると思うのです。