深く熱い2時間半!

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石田秀輝先生(東北大学)をお招きしての、講演会+意見交換会は、
全体を仕切ってくれた河合さんの、着実な手際の良さもあって、
予想以上に deep な話が続き、実に興味深い2時間半となりました。

僕らは前日の夜から石田先生を囲んで、意見交換会の要点を確認し、
話し合いの中から、講演内容も調整していただくことができましたが、
遠方から来ていただいてすぐに、この難しい調整をしていただき、
当日こともなげに、的を外さず講演していただけたことに感謝です。

講演内容は多岐に富んでいたのですが、現在の問題解決策は多くの場合、
現状の延長上で解決しようとする、フォア・キャスティングだとして、
まずこの発想を、バック・キャスティングに転換することを勧められる。
例えば電力不足の問題にしても、必要な電力を我慢するのではなく、
本来必要でない電気をチェックして、これをゼロにすることから始める。

増え続ける電力需要を必然とは考えずに、本当に必要なものを見据えれば、
それだけでも1割や2割の電力需要は減るし、さらに大切なのは、
大量消費型のライフスタイル自体、本当に必要なのかどうか検証すれば、
実はかなりのものが、必要もないのに右肩上がりさせてきている。
これをやめるだけで、相当多くの電力が必要ないとわかるはずなので、
まず僕らは、常識に縛られずに豊かな社会を考える必要があるのです。

意見交換会に入って、まず僕から今回の勉強会の趣旨を説明しました。
それは「市民協働のまちづくり条例」や「南砺市総合計画」の中で、
将来の南砺市では、循環型社会が大きなキーワードになってくるのですが、
まだ必ずしも、どんな循環型社会なのかは市民共有されていない。
さらに新しく市政方針に出てきた、エコビレッジ構想にしても、
どんなものを指すのかは、何も具体的に決まっていない実情があります。

それなら市民協働の精神からしても、おおいに市民が議論することで、
どのような循環型社会にするかは、市民と行政の協働で決めていきたい。
そこで石田先生をお招きして、講演と意見交換をすることになったこと。
石田先生をお招きしたのは、大量消費社会が始まる前の生活の知恵を、
新しいテクノロジーで再構築させれば、新たな豊かさが生まれるとされる、
この発想を、自然風土に根ざして豊かだった南砺市の将来に生かしたい!
そんな観点での議論の発展を望んでのことだと、説明をしました。

その後富山大学の金岡先生から、砺波平野一帯ではまだ地域連携が無く、
産官学金の連携を模索する気運はあっても、具体的ではないこと。
まして理想的な将来像を設定しての、バック・キャスティング思考では、
市民全体のコンセンサスが得られないなど、厳しい話がありました。
そして南砺市、民生部の三谷部長からは、あらためて産業経済との連携や、
経済的な持続可能性と、地域の暮らしの安心安全とのバランスなど、
現状抱えている問題を、どう解決するかの話が中心に述べられました。

一通り様々な立場と違う見方の意見が紹介されたあと、会場からは、
自然農はどのように関われるのか、現状はどうなのかの質問や、
あらためて経済をどのように維持するのか、見通しに対する質問、
あるいは木質ペレットの普及に関して、現状と将来見通しの話も出ました。
興味深いのは、南砺市が勧めようとしている木質ペレットに対して、
採算が合うには量産が必要で、これを追求すれば経済性の誤謬に落ちる、
そう話が進んだところで、会場から、間伐材がたくさんあるからと言って、
なぜペレットなのか、薪をそのまま燃料にすればいいじゃないかとの意見。

事前に僕らが心配した、一部の人の自慢話や一方的な批判ではなく、
様々な角度から、多種多様な意見をいただくことができたと思います。
予定した2時間半は、またたくまに過ぎて終了時間となり、
僕らは今後も議論を続け、南砺市型循環型社会の受け皿になるため、
新たなグループを立ち上げることを確認して、講演会を終了しました。

最後に一番印象的だった話として書いておきたいのは、石田先生の講演で、
人はどんなときに幸せを感じるのか、とアンケートをしたときに、
老若男女を問わず自分が誰かに認められるときであり、その最も身近な形こそ、
家族や地域社会の中で、自分に役割があることだとされることでした。
この幸せ感こそ、将来の南砺市を市民協働で作っていこうとする鍵であり、
今後の南砺市を循環型社会にしようとするとき、大切な視点だと思うのです。

準備段階から様々な便宜を図っていただいた、地創研の皆さん、
えんかふぇ、七八塾の皆さん、市民会議の皆さん、ありがとうございました。
8人の発起人により、南砺ガルテン情報センター(仮称)を立ち上げ、
さらなるステップに進みたいと思いますので、これからもよろしくお願いします。
なお石田先生には、このグループの名誉顧問になっていただきましたので、
皆さんにお知らせして、今回のご報告を終わります。
ありがとうございました。