全国小水力発電サミットin 黒部

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党派を超えた国会議員や、大学の研究者、行政、ジャーナリスト、
環境NPOや、財団法人など、様々な分野の人が呼びかけ人となって、
小水力利用推進協議会というのが、2005年からあるようですが、
そこが中心になって開催された、全国小水力発電サミットに参加してきました。
今回は2回目で、会場は黒部市宇奈月国際会館セレネ、と少々遠いので、
事前に行く人をチェックしておき、車に便乗させてもらっての参加でした。

19日に基調講演とパネルディスカッション、事例報告があり、
20日に分科会と取り纏め、さらには総括・サミット宣言とあって、
21日がエクスカーションと、三日間に渡るものですが、
僕が参加したのは2日目の、分科会と取り纏めの部分です。
分科会は4つに別れて、
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◎第1分科会「自治体の課題と挑戦」(富山県立大学 九里徳泰)
◎第2分科会「自然エネルギーによる自立分散電源」(ジャーナリスト 本橋恵一)
◎第3分科会「小水力エネルギーを活かす技術」(富山国際大学 上坂博享)
◎第4分科会「小水力甲子園(高専生・高校生交流)」富山工業高校 西脇清史)
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となっており、僕が参加したのは第一分科会です。

この分科会では、
富山市環境部環境政策課から「環境モデル都市富山」のお話が、
南砺市農政課から、市民が独自開発の発電機を使った「南砺の挑戦」が、
岩手県葛巻町 農林環境エネルギー課から「エネルギー自給のまちづくり」が、
そして長野県飯田市水道環境部地域温暖化対策課からは、
「小水力発電を地域の内発的発展にいかす~分権型自然エネルギー政策の試み~」
とそれぞれに興味深い話が、多くは実例を示しながらお話しされました。

一通りの話を聞いて、パネラーとコーディネーターのやりとりも聞いた後、
僕はどうしても気になったことを、葛巻町の担当課長に聞いてみました。
それは、地域で消費する電力の160%を生産する葛巻町が、
昨年の大雨や大雪のときに二回、そして今年の震災の後にも一回、
それぞれ2~3日に渡って停電してしまったというのが、どうしてなのか?
今後さらに小水力も使って発電量を増やそうとするのは、単なる売電なのか?

本来地域での自然エネルギーによる発電は、地域のエネルギーを自給することで、
安心安全な地域づくりをするのが目的の一つで、単なる経済採算ではないはずです。
ところが自分たちの発電機が故障したわけでもないのに、電力会社の事情だけで、
発電している地域の電気が2~3日も止まってしまっては、安心安全になりません。
もちろんこの理由は、発電した電気を自由に使えない法律があるからですが、
それをどのように受け止め、何か対策を考えているかどうかを聞いたのです。

残念ながら葛巻町では、来年の全量買い取りを目指して発電量を増やすだけで、
それを地域スマートグリッドなど、独自グリッドで使う予定はないようです。
これでは本来の地域自立型のエネルギーにはなりませんが、すでに大企業では、
独自に発電した電力供給を、自分たちの需要を賄うのに使い始めているのですから、
自治体としての地域でこうした技術の応用は、あり得るのではないでしょうか?
そんな話を期待したのですが、まだハードルは高かったようです。

それでも取り纏めのパネラーの話からは、単なる電力の増産ではない、
自然エネルギーを利用する意味について、誰のための小水力発電なのか?
その電力を何に?、どう使うのか?といった命題抜きには、
自然エネルギーを開発する意味の合意が得られない!との指摘がありました。
つまり自然エネルギーを使うのは、大きな循環型社会を目指すからであり、
その価値を合意して初めて、採算性を超える意味が合意出来るからでしょう。

自由発電の全量買い取りや発送電の分離など、法的改革も必要ですが、
電力利権の悪力は余りにも強いので、簡単には法律も変わらないでしょう。
そうであれば法整備を待つだけでなく、自分たちでできることからやっていく、
大企業が既にやっているような、地域内電力自給を自治体でできないのか?
これができれば、電力会社の都合で2~3日も停電になる必要もないし、
勝手な広告料まで上乗せした電気料金を支払わされることもなくなるのです。

ともあれ、雨にもめげず大勢の人が集まって盛会だった小水力サミットは、
高校生による大会宣言を採択して、次回岐阜県にバトンを渡して終わりです。
この大勢集まった人たちが、これから地元で何をしようとするのか?
僕の住む南砺市でも、新しい動きを楽しみにしていたいですし、
また僕自身も自分なりに関わっていきたいと思い、会場を後にしました。